自宅のチョウバエ根絶作戦

チョウバエのように舞い、蚊のように刺す男が綴るブログ

 このところ小さな黒点が自宅のお風呂場で宙を舞い、そして壁にとまっている。近寄って観察すると正体はチョウバエという害虫であった。これは水回りの汚れから発生する典型的な虫である。つまり虫から浴室が汚いと言われているようなものである。誠に遺憾である。自分の不精を棚に上げてチョウバエへの敵愾心が湧き上がった。徹底駆除である。虫にとってお門違いも甚だしいが、今日はそんな一般住宅のチョウバエ対策について書きたい。しばしお付き合いいただければ幸いである。

1. まずは掃除

 さて、チョウバエの駆除方法とは何か?現場によって少しずつ異なるが基本は掃除に尽きる。ではどこを掃除すべきか?具体例を挙げれば膨大な数になる。従って今日は一般住宅の例に絞り込みたい。最初に見ておきたいのがお風呂場であり、中でも排水口の周りである。

 排水口と言っても洗面台、湯船、そして浴室床の3ヶ所がある。どれを指すのか?全てであるが、特に注意したいのは床にあるものであろう。大抵は蓋がされており、これを開けるとゴミ受け(ヘアキャッチャー)が姿を現す。そのゴミ受けには髪の毛と一緒に気持ちの悪い「茶色っぽいぬめり」が付着しているはずである。その光景が目に浮かんだ方もいるかもしれない。いささか気分を害されたかもしれないが話を続ける。 その「茶色いぬめり」とは一般にスカムや汚泥など呼ばれる水回りの汚れである。

 この汚泥ともスカムとも呼ばれるぬめりこそがチョウバエの幼虫の餌になるのである。もうお分かりであろう。これがチョウバエの発生原因であり、その除去が駆除への第一歩である。またゴミ受けのみならず、その下にあるトラップ(白い筒状、左右に少し捻って外す)も同様にぬめりが付着しているはずである。 排水口の周りにも同様であろう。あまり気の進まない作業であるが、ひとまずこの掃除から始めていきたい。 なお、このぬめりが取れるのであれば掃除の方法はこだわらない。メラミンスポンジでこする、それっぽい液に浸けて落とす、手段は様々である。

 ただ掃除の際に独特の異臭が立ち込めることは覚悟したい。まるで硫黄臭である。お風呂場だけに硫黄泉で嗅ぐソレだと思い込もうとしたが、それは無理があり過ぎた。百歩譲って同じニオイだとしても、発生の過程に決定的な違いがある。そもそも温泉に失礼である。 話を元に戻す。このように掃除の最中は換気扇をフル稼働させたい。加えて掃除で生じたゴミを捨てるタイミングも重要である。できればゴミ収集の前日が望ましい。また清掃の目安を上の写真で示す。分かりやすく言えば素手で触っても抵抗が無いくらいの綺麗さがよいだろう。

 続いて浴槽の排水口であるが、奥の奥まで掃除することが難しい。排水口周りの汚れを落とし、適当な配管掃除の液体を流し込むくらいであろう。また、排水口には分解可能なパーツがあることもある。その場合は取り外してきちんと汚れを落としておくに限る。

 ここまで書くと洗面台の排水口への対処も想像がつくと思われる。浴槽のそれと同様である。以上である。

 あとはお風呂以外にマークしておくべき場所はキッチンの排水口である。浴室床のそれと同様にゴミ受けが最初に目に入る。次にそのゴミ受けの奥に防臭ワンが見えるはずである。キッチン周りからチョウバエが発生している場合、この側面と裏が地獄の形相を呈していると思われる。試しにメラミンスポンジでこすり、そして得体の知れない色をした何かが付着すれば確定だろう。気分を害するニオイとセットで対応を求められるが、ここは我慢してきちんと掃除をしたい。

2. 殺虫剤の力を借りたい場面

 しかし、中には掃除が難しい場所もある。例えば洗面台やキッチン流し台のオーバーフロー防止穴である。飲食店の厨房でも時々目にする事例であるが、中に水と一緒に汚れが入り込み、それが長年堆積してチョウバエの発生原因になっていることもある。狭い場所なので奥に手が届かず、害虫の温床になっていると分かっていても手が出せない。もどかしいが、そんな時こそ殺虫剤の出番である。

 今回はお風呂のチョウバエ対策に使いやすいものをご紹介したい。コバエ用ムースFTである。名前の通り殺虫剤の混ざった柔らかい泡、つまりムースを出すもので上の写真のようにオーバーフロー防止穴などに注入するような使い方ができる。ムースなので穴の隙間を適当な布なので塞ぎながら注入すると狭い空間にも殺虫剤と泡を充満させることができる。

 コバエ用ムースFT注入施工後の様子。なお泡と言えば汚れも一緒に落としてくれると期待しがちである。しかし残念ながらその効果は無い。汚れは残されたままである。その代わり殺虫剤を散布した後にチョウバエが発生しづらくなる効果はある。詳細は商品の詳細ページに譲るが、要は昆虫の幼虫が正常に成長できない(簡単に言えば脱皮する時に皮をうまく脱ぐことができない)成分が長時間残るのである。恐ろしい響きであるが何のことは無い。脱皮することの無い(=作用する部位が無い)人間にとっては安全性の高い成分である。そもそも人と虫とでは体の造りは根本的に異なる。安心してご利用いただきたい。

 しかし殺虫効果と洗浄効果の両方が欲しいという声もあるだろう。そんな方にはチョウバエバスターをお勧めしたい。これは最初顆粒状であるが水と反応してどろんとした泡になる。排水口の周りへ投下するにはもってこいである。そしてその泡はぬめりといった汚れを落とす効果とチョウバエなどの虫を殺虫する効果とを併せ持つ。つまり発生原因対策と駆除を一度に行うことができる。

 なお水と反応して泡になると書けば、モコモコと勢いよく泡が盛り上がって来て、泡だらけになる光景を想像するかもしれない。しかし使ってみるとチョウバエバスターの粒を落とした水面から広がるように緩い泡が広がっていくような感じである。ここは期待外れという声もあれば良い塩梅という声もある。それはさておき、繰り返しになるが排水口のトラップや防臭ワンを外した後に撒くといった使い方がオススメである。

3. 最後に注意点

 コバエ用ムースFTは他のスプレーと同様に可燃性のガスを利用しているため火気厳禁である。具体的にはキッチンのコンロの火、またガス給湯器などである。掃除が終わってお茶やコーヒーで一服したいところであるが、その前に換気を徹底(1時間ほど)をしていただきたい。またこれからの季節はストーブの利用も始まる。暖房機器の有無にも注意が必要である。

 なお、排水周りの掃除に関して塩素系の洗剤を利用する方もおられるだろう。ここで気になることは今回ご紹介した殺虫剤を撒く前後でこれらの洗剤を使用すると有毒ガスが発生しないかどうかである。結論として問題は無い。ただしチョウバエバスターは塩素系や酵素系の漂白剤と併用・混合すると効果が落ちるようである。そもそも殺虫剤は用法用量に記載されている通り、単独での使用が前提である。洗剤や他の殺虫剤とは混合せず、時間を空けるなどして単体でのご利用をお願いしたい。

 ところで、お風呂でこのような大掃除をするとチョウバエが居場所を失うためか一時的に複数飛び出してくるという経験がある。しかし程なくして姿を消すため心配は無用である。また、こういった対策を講じてもなかなかチョウバエの発生が止まらない場合は何か別の問題があるのかもしれない。そんな時は一度弊社までお問い合わせをいただければ幸いである。さて、お風呂の掃除が終わり、快適なバスタイムを楽しむことができるようになったところで本日は筆を置かせていただきたい。

季節の感じ方

機種変更が終わり、もぬけの殻になったスマホを普段通りに鞄へ入れて出勤していった男が書くブログ

 時々日本の四季はもはや二季になってしまったとの声を聞く。そんなはずはあるまいと甘く見ていたところ、そうと認めざるを得ないような毎日である。何だか悔しい。さて本題に移りたい。皆様は季節をどのように感じておられるだろうか。例えば空模様だろうか。あるいはイベントだろうか。本日はそんなお話をしたい。しばしお付き合いいただければ幸いである。

 10月の終わりにしては大して寒くない今日この頃。日中は半袖で十分な日もある。このように気温では季節が分かりにくい。ところがニオイではどうか?ニオイ=秋のカメムシの話題に繋げるつもりであろうとの指摘が聞こえる。図星であるが最初は綺麗な話題から広げていきたい。このところ町の中で良い香りを放っているのがキンモクセイである。この香りを嗅ぐと秋の訪れを実感するものである。このように嗅覚から感じる秋もあるだろう。

 次に音である。秋といえば各地でお祭りが開催される。地元の祭囃子が思い起こされた方もおられるだろう。続いて身近なところではどうか?夜になると虫たちが奏でる音色が聞こえてくる。仕事から帰り自宅で一服していると、家の中にもその演奏が流れてくることがある。これを騒音と感じるか風物詩と感じるか。それは聞き手次第である。しかしいずれにせよ、このように聴覚から感じる秋もある。なお上の写真は弊社の事務所にやってきたコオロギである。このように時々音色だけでなく虫そのものも建物の中に入ってきて人を驚かせ、そして悲鳴を上げさせることもあるのはご愛敬である。

  他には味覚の秋もある。残念ながら昆虫食の話題ではない。それは弊社姉妹ブログをご覧いただきたい。季節がおかしくなったような昨今、作物は例年と比べて大きさや味は変わらないのかどうか。多少気になるところであるが旬のものを食べると季節の変わり目を実感するものである。なお、自分の年齢を考慮すると食べ過ぎには注意が必要になってしまった。食べ物で季節だけでなく年齢まで実感してしまうようになってしまったのは甚だ遺憾である。

 話を元に戻す。しかし人間は視覚から8割以上の情報を得ているとの説がある通り、やはり目で見たものから季節を感じることが多いのではないだろうか。心がすっかり害虫駆除の世界に染まった筆者は建物の周りにカメムシが飛んでくると秋を実感する。そうでなくともマンションの廊下に大きなカマキリが出現したりするとそう思うものである。なお一般の方にとって虫とは少なからず気持ちの悪い存在である。季節と虫とがリンクして、あの虫がまたやって来る嫌な時季になったと感じてしまう方も、もしかしたらおられるかもしれない。

 いささか自分語りで恐縮であるが、虫が一般の方から嫌われていることを示すエピソードがある。筆者の高校時代、教室に虫が飛び込んでくることが年に数回あった。時には大きなバッタやコガネムシ、ヤモリがやって来るのだが、それだけで周囲はもう大混乱という始末であった。そしてこんな時は颯爽と躍り出てこれらを捕らえ、そして外に逃がすよう心掛けた。この瞬間だけは黄色い声援に包まれるからである。ただし一つ注意が必要である。それはその後きちんと手を洗っておくことである。これを怠ると評価は暗転する。無情だがそれが現実であった。下手をすると虫と関わる人間でさえこの扱いであった。

 また大きなクモや蛾と対峙する際にも気を付けるべきことがあった。これらは殊更恐怖の存在として映るのであるが、これに立ち向かう人間もまた異質な存在として見られていたようである。周囲から見ればエイリアンVSプレデターのようなものであったのかもしれない。今思えば素手で立ち向かうのではなく、殺虫剤とは言わずとも何かしらの道具でスマートに対処する必要があった。今の知識が当時の筆者にもあればよかったのだが後の祭りである。

 さて、そんな悲惨(?)な体験談からの今回のまとめである。すなわち殺虫剤のお話に着地したい。なるべく虫に直接触れることなく駆除する方法は何か?選択肢は色々であるが、害虫が現れるであろう場所に前もって殺虫剤を撒いておくくことであろう。こうすると殺虫剤を撒いた場所を害虫がトコトコ歩いているうちに殺虫剤の成分が徐々に虫の体内に取り込まれ、そして駆除される。今回は季節を考慮して建物の外側全体へ飛んでくるカメムシへの対処を例に挙げたい。この場合、建物の外全体という広い範囲へ散布できる殺虫剤が理想的である。

 具体的には水で薄め、そして噴霧器で散布するような殺虫剤が該当する。噴霧器と書けば小難しく聞こえるかもしれないが何のことは無い。農家さんが農薬をまく時に使う手押しポンプのようなものを想像していただければよい。同じ要領でシャーッと撒くのである。次に撒く殺虫剤であるが、広い範囲へと散布するのであればほぼニオイの無い物がありがたい。加えて今回であればカメムシに効くものがベストチョイスである。それであればカメムシに好評のサイベーレ0.5SCをお勧めしたい。具体的な使い方については商品ページの通りであるが、不明な点があれば弊社スタッフまでお問い合わせをいただければ幸いである。

 さて最後に虫といっても我々の目を楽しませてくれるものも多い。あまり毛嫌いせず適度にお付き合いをしたいと思ったところで本日は筆を置かせていただきたい。

庭から蚊を根本的にいなくする

蚊の羽音をカーステレオと呼ぶ男の物語

 某日久しぶりに実家へ帰ったところ、待っていたのは庭にはびこる蚊の猛攻であった。長い出張疲れを癒すつもりの帰省であったが誠に遺憾である。急速に心の中に怒りが渦巻いた。瞳の奥にはグルグル巻きの蚊取り線香が映っていたかもしれない。もはや情状酌量の余地は無い。徹底抗戦である。そんな一般住宅の蚊の駆除について本日はご紹介したい。しばしお付き合いいただければ幸いである。

1. 蚊の種類を特定する

 さて、蚊に限らず害虫駆除で大事なことは何か?それは相手の正体を知ることであろう。となれば、まず1匹捕まえて種類を特定しなければなるまい。そう思って庭に躍り出れば、こちらから探しに行くまでもなく蚊の群れが迎えに来た。好都合である。早速一番のろまなものに平手打ちを一撃して身柄を確保した。若干の怒りがこもったせいだろうか。いささか死骸は分解してしまったが、正体を知るには十分な状態でそれは手のひらに残った。

 こうして捕らえた蚊の見た目を観察する。全体的に黒っぽくて、お腹などを中心にところどころ白い縞々模様が入る。これはヒトスジシマカであろう。一般的に蚊と呼ばれるもののの代表格である。では次にこのヒトスジシマカが発生するのはどこか?蚊といえば水のある場所という声が聞こえてくる。正解であるが、もう少し具体的な答えが欲しいところである。 次にそれを考えてみる。

2. 発生場所を突き止める

 まずヒトスジシマカが発生するのは水たまりのような場所である。例えば庭であれば金魚鉢の中、蓮など水辺で育つ花を育てるため水を張ったままの鉢、また植木鉢のお皿に溜まった水などである。他に外にほったらかしたままのバケツやプランターがあればそこに溜まった水、落ち葉や土で排水溝が詰まってしまった洗い場の周りなども挙げられよう。

 これらを踏まえて実家の庭を観察する。親の手入れが行き届いており綺麗だが、蚊の発生しそうな場所が無い訳でもない。中でもひときわ禍々しい雰囲気を放つものがあった。大きな水瓶である。曰く、魚を飼っているのではなく雨水と落ち葉が溜まるに任せているようである。不吉な予感が走る。すぐに中を覗き込んでみた・・・見つけたよ。中から無数のヒトスジシマカが現れた。間違いない。実家の庭ではこの水瓶が蚊たちの根城なのであろう。

 なぜそう言い切れるのか?理由はこの水瓶の中身を見れば分かるに違いない。蚊の幼虫、いわゆるボウフラは水中の有機物を食べて育つ。具体的には落ち葉や泥、金魚鉢では魚が食べ残した金魚の餌なども当てはまる。雨水と落ち葉が溜まるに溜まった水瓶などボウフラの格好の生息地になるであろう。それを踏まえてこの重い水瓶を傾けて中身を適当な水槽の中に出してみた。重い、汚い、臭い、救いようのない作業であったが、その甲斐あって琥珀色をした不思議な水を得ることができた。

 これを丹念に落ち葉、水、そして生息しているであろうボウフラに分ける。細やかな作業であるが虫の研究ばかりしていた学生時代に戻った気分になる。実にすがすがしい。気持ちが若々しくなった気がする。しかし、ふと水槽の水面に映る自分の顔を見れば、すっかり年を重ねたそれである。現実とは残酷である。

 話を元に戻す。こうして分離したボウフラを桶に移して大雑把にカウントした。その数、200匹近く。おぞましい。詳細な写真を掲載したいところだが、見ると気分を害される方がいるかもしれない。私もお叱りを受けるかもしれない。上の写真が限界である。なお、ヒトスジシマカの雌が一生に産む卵の数は数十個から100個ほど。仮にこの200匹近いボウフラの半数、100匹が雌になるとすれば将来的な蚊の発生数は数千から1万。こう考えれば、水瓶1つの掃除といえど実に有意義であったと言える。

3. 対策の考え方

 さて、こうして得たボウフラはどのように駆除すればよいか?簡単である。彼らは水中でしか生きられない。乾いた地面に水ごと流してしまえばよいのである。残念だったねと言い放ち、そしてカラカラに乾いた排水溝へと流す。傍から見れば、もはやどちらか正義か悪か分からない光景である。

 ところで掃除をした後の水瓶である。せっかく中身を出して綺麗にしても、時間が経つと再び雨水と落ち葉が溜まり元の木阿弥である。定期的に掃除をしなければなるまい。実に面倒であるが、さりとて親に任すには酷である。ここは害虫駆除の世界で得た知識を活用して親孝行すべきであろう。つまり殺虫剤の出番である。最終的に殺虫剤のお話に帰結するのはこのブログの宿命である。

 では今回選ぶ殺虫剤は何か?状況を整理すると、まず水瓶に今後も落ち葉と雨水が溜まりボウフラが再び出現することは避けられない。次にその後を冷静に考える。ボウフラが出現しても即座に影響は無い。その後成長したボウフラが成虫に育って初めて吸血の被害が起こるのである。であれば答えは明白である。成虫になる手前で効く殺虫剤を水瓶の中へ定期的に投下するのである。詳細は商品ページに譲るが、そういった効果を持つものにスミラブ粒が挙げられる。これを使い方に則って撒いてあげればよいのである。実にシンプルである。

4. エピローグ 殺虫剤の使い方は要確認

 最後に余談を紹介したい。汚い水の中からボウフラをふるい分ける作業中のこと、大きなヤゴが見つかった。もちろん人には害が無い。後で掃除の終わった水瓶の中に返してあげてもよかったが1つ問題があった。上記で紹介した殺虫剤(スミラブ粒剤)は昆虫全般に効くのである。このヤゴも例外ではないだろう。トンボになる手前で死亡してしまう恐れがある。これは避けたい。今回は別に水槽を用意して移住させる措置をとったのであるが、殺虫剤を使う上でこのような基本的な知識の理解は極めて重要である。

 殺虫剤の使い方の注意はラベルに記載されている用法用量を見れば分かる。しかし現実はどうだろう。本当に理解があっているのか不安に思うこともあれば、思わぬ勘違いから誤った使い方をしてしまうかもしれない。話題は逸れるが、料理の本を見ただけの知識で夕食を調理した私がとんでもない失敗作を作ってしまったのと同様である。詳しい人に経験を含めて聞いてからすればよかったと思うことは古今東西多々あるであろう。以上より、もし殺虫剤の使い方や選び方にお困りのことがあれば弊社までお問い合わせをと思ったところで本日は筆を置かせていただきたい。

転ばぬ先の防虫対策

秋分の日と打ったはずなのに醜聞の日と変換されてしまった男が書くブログ

 某日、帰宅直前の社内階段にて。壁面に何かが付着していました。いつも通りハエトリグモかと思っていましたがコオロギとかバッタ系の虫でした。調べる気力がありません、気が向けば後日改めて種名を掲載します。サイズ比較はこの通り、一円玉よりもうんと小さいです。

 なお、その虫がへばりついていたのは階段のココ。指で指し示してみましたが微妙だったので矢印を追加しています。こんな小さな虫がよくこんな高さまで上がって来れたなと感心しました。

 せっかくなので記録を残しておいてあげましょう。翌日、調査で使用するレーザー距離想定器で実際に到達した高さを図ってみました。現場の人間あるある、仕事で使う機材を日常の些細な出来事に使ってしまうアレですね。

 さて、その結果はこちら。高さ4メートル。地道に階段を登り続けたのか、あるいは壁を延々と登り続けたのか。いずれにせよ、あんな小さな虫にしては快挙でしょう。まぁ、毎年年末に42.195キロのフルマラソンを走る弊社メンバーも人のことは言えませんが。

 ところで弊社の玄関周りは駐車場や倉庫などコンクリートの海が広がっています。そしてお隣さんの建物も同様で、その裏にようやく草地があるという具合。それでも小さな虫が弊社に辿り着いて屋内に侵入し、そして4メートルの高さまで侵入していた。この事実には少し驚きです。

 つまり異物混入対策として虫の侵入に注意を払わなければならない工場や飲食店も同様で、「まさかこんな場所にまで虫が!?」ということの無いようにしなければなりません。定期的に虫取りトラップを置いて虫が侵入していないかチェックする、建物の外周に色々な害虫に効く殺虫剤を散布するなど、日ごろの防虫対策の積み重ねが転ばぬ先の杖になってくれるのではないでしょうか。

 それと最後に。今回活用したレーザー距離測定器を含め現場あるあるなのが機器類の電源切り忘れ。そして次の現場で使おうと思ったら電池が切れているという・・・。使ったら電源を切る、現場の鞄には万一のために予備の乾電池を入れておく、転ばぬ先の杖として心がけておきたいことですね。現場の監督者のような言葉を申し上げたところで本日は筆を置きたいと思います。

インテリアグリーン兼ハエ捕りのご紹介

逞しい胸板は無いが、脇腹に積み重ねた腹板ならある男が書くブログ

1. 部屋の整理整頓のため家具を新調

先日、自宅の整理整頓が破綻しつつあるため家具を色々と新調しました。食器棚を新しい物に換えたところ、食器からランチョンマット、炊飯器に至るまでまとめて管理できて片付けが大変楽になりました。

玄関には靴箱を追加。革靴、マラソンシューズ、現場用の靴、普段使いの靴ときれいにおさまりました。空いたスペースにシューズクリーナーやマラソンポーチを入れることもでき、より機能的になったかと思います。

2. 空きスペースに色々と飾りたくなった

さて、その食器棚や靴箱の上には広いスペースがあります。何か小物を飾りたくなります。こうして片づけては余計な物を置き、また散らかる。散らかしと片付けの終わりなき螺旋階段を順調に上がっているようです。

とりあえず靴箱の上には控え目にネズミの置物を1つ置くだけにしましょう。畳を敷いてあげるとより雰囲気が出ます。将来的に屏風や色々な小物が周りに置かれ、やがて仲間も増えて散らかっていく、そんな未来が見えるようです。

そしてリビングに置いた食器棚の上にはインテリアグリーンを乗せてみました。部屋の中に緑があると雰囲気が落ち着きますね。なお、ここからが今日の本題。このインテリアグリーン。実はただの飾りではありません。

3. コバエを捕獲できるインテリアグリーン

実はこのインテリアグリーン、ショウジョウバエやノミバエといった、いわゆるコバエを捕獲するゼンドゾーンズというハエ捕りのアイテムだったのです。では、これでどうやってコバエを捕まえるのか?その構造や使い方を交えながらご説明しましょう。まずゼンドゾーンズは写真のように多肉植物を模したインテリアグリーン部分、鉢のような本体、最後に透明な容器の3つに分かれています。

次に使い方を見ると、透明容器に付属の専用の誘引液(補充用の別売もあり)を半分くらいまで入れ、そして本体にセットし、最後にインテリアグリーン部分を乗せて使用の準備完了です。これをコバエが飛んでいるところへ置くと、やがてコバエが誘引液のニオイにおびき寄せられてゼンドゾーンズへと飛んでくる訳です。

なお、インテリアグリーン部分の根元。こんな感じで小さい穴がいくつか開いています。ピンと来た方はその通り、誘引液のニオイにおびき寄せられたコバエはこれらの穴を通って本体の中へと侵入。そして最後は透明容器に入れられた誘引液にドボンと落ちてジ・エンドということです。

ところで「これで本当にコバエは捕れるのか?」という声もあるでしょう。ご安心ください、色々な現場で実験を行って捕獲されることを確認しております。実験にご協力いただいた八百屋さんではなんと3週間で約1,000匹ものショウジョウバエを捕獲したこともありました。

4. こんな特長もあります

なお、インテリアグリーン部分と鉢状の本体は2種類ずつバリエーションがあります。インテリアグリーン部分はTABITHA(上の写真では右)とSANDY(同、左)の2種類、鉢状の本体は茶(上の写真では右)と白(同、左)の2種類です。つまりインテリアグリーン部分2種×鉢状の本体2種=計4パターンの組み合わせが可能ということです。設置する場所の雰囲気に合わせてお買い求めいただければと思います。上記の写真を例にすると右はTABITHA(茶)、左はSANDY(白)の組み合わせとなります。

また、これは試験設置した現場でよく言われたことですが。「どう見ても防虫用品、ハエ捕りに使うものとは思えない」や「ただの飾りにしか見えない」という声もありました。これらの意見からは見た目を気にせずコバエの対策ができるという利点があると言えるでしょう。ショウジョウバエやノミバエといったコバエに困っている飲食店さんや青果店さんでは特にオススメかなと思います。

5. エピローグ

さて、お話を私の自宅に戻して。 今回食器棚を新調したおかげで今まで食器や炊飯器を乱雑に入れていたスペースには調味料やお米、調理器具などをスマートにおさめることができました。今後、防災用の保存食などを追加する予定です。

そして靴箱を新しくしたことで玄関周りは非常にすっきりしました。生活に新たなリズムが生まれた気がしなくもないです。整理整頓をすると生活の流れが良くなるということでしょうか。では、その整理整頓のためには物を元に戻す習慣をつける。同時に、きちんとした物の収納スペースを作ってあげること。これも大切ということなのかもしれません。

最後に。嫌な虫がいない生活空間を作るためには掃除と整理整頓をして、虫が発生しづらい環境を作ることが大事です。併せて虫がきちんと収容される場所、つまり捕獲されるアイテムを置いてあげることもまた一つ、重要なポイントではないでしょうか。さて、ひたすら私生活と商品紹介を絡めるに絡めたところで本日は筆をおきたいと思います。

ベランダのくっつき虫にご用心

自宅で干している洗濯物にさえ虫が寄り付いてしまう男が綴るブログ

某日、ベランダで干していた服を取り込んだ時のこと。右わき腹に何かがついていますね。本当に小さくて黄色い点。ゴミかなと思いつつ観察。

拡大するとコレです。キイロテントウ。テントウムシはテントウムシでも食べるのはアブラムシではなくて菌(野菜などにつくうどんこ病菌)という変わり者。私の服によからぬ菌がついているのではなく、たまたま服に付着してしまったのでしょう。こうして家の中に持ち込まれてしまったキイロテントウ。特に悪さをする訳ではないのでベランダから釈放。

さて、テントウムシ程度で済めばよいですが。時にはカメムシがが干してある布団や服にくっついていることもあります。そういえば最近ベランダでカメムシを見かけないでしょうか?では、洗濯物ごとカメムシを部屋の中に入れないようにする方法は何か?取り込む前に彼らがくっついていないかチェックするだけですがここで新たな問題。見つけたカメムシにどう対処するか?筆者のように素手で対応できればそれでよいですが、それは無理という方はぜひ「布団や服についたカメムシにも散布できる殺虫剤」をお試しください。

・・・このところネタ切れです。お盆休みに何か面白い話題を集められないかどうか、頑張ります。ではまた次回!

虫たちの侵入できる隙間①

減量のためしっかり運動し、そしてその分がっつり食べてしまう男が綴るブロク

 近畿地方は梅雨明けしましたが、雨がしとしと降り続いた今月初め頃に時間を巻き戻して。写真は某日お昼ご飯を買いに行った時のワンシーンで、ツマグロヒョウモンらしき蝶が草の陰で雨宿りしていました。こんな蝶すら舞わない鬱陶しい天気の中、夕方から現場作業に出かけました。湿気る作業着、浸水する作業靴、心にカビが生えそうです。

 とはいえ現場作業と言ってもこの日は軽装。オープンツールバッグと書けばいいのでしょうか、こんな上側がガバッと空いた鞄を持ち歩き。そして中には自分が身に着けるための膝当てと手袋、加えて謎な紙の束が少々入っているだけ。

 その紙の束を現場で組み立てるとこの通り。ゴキブリなどの害虫を捕獲するためのトリモチに変身。我々業者がチェックシートや調査用トラップと呼ぶものです。これはゴキブリが通ったり居座ったりしそうま場所に置いておき、その現場のどこでゴキブリがどのくらい捕獲されるかを調べるために使います。今回は殺虫剤を撒いた後の効果判定のため、少し前から現場に置いてあるトラップを新しいものと交換することが目的です。

 ちなみにターゲットはこちら、 クロゴキブリです。リアルや写真は避けましょう、模型で代用します。家によく出る大きなゴキブリで恐怖の対象です。家の中で繁殖する印象がありますが、実は家の外から侵入することも多いのです。従って建物周りでの駆除や、部屋の中への侵入経路の特定も駆除を請け負う側にとっては重要なポイントになっていきます。

 ここで豆知識ですが、クロゴキブリが侵入できる隙間の大きさとは?それは3.5mmほどと言われております。どのくらいかと言えば100円玉が2枚くらい入る隙間です。扉と床の隙間はもちろん、壁と床の間に何か屋外から差し込む光が見えるな~というところも要注意です。

 余談が過ぎますが、ネズミの場合はハツカネズミで7ミリほど、ドブネズミやクマネズミの子供であれば12ミリくらいの隙間を注意しなければなりません。こちらもネズミは実物の写真を避けてぬいぐるみで代用しましょう。目安としては、指が2本入るくらいの穴や隙間はネズミがやってくるかもしれないと考えて封鎖をしなければなりません。なかなか大変です。

 さて、そんなこんなで現場の調査用トラップを交換し、作業は完了。今回もクロゴキブリがちらほら捕獲されていました。時間が時間なので自宅に直帰し、作業鞄は玄関に置きました。作業鞄の中にはまだ生きているゴキブリが引っ付いたトラップも入っていましたが、まぁ脱走することもあるまいと思ってそのまま放置。そしてそれを忘れたまま時間は過ぎ、やがて就寝の時間に。そしてその深夜。突如虫が飛び回るような爆音で目が覚め、そして月明り越し目を凝らすと黒くて楕円形の虫が視界に入りました。・・・まずい、まさかトラップから脱走したクロゴキブリがいるのか?

 恐る恐る部屋の電気をつけると、何故かそこにはノコギリクワガタの雌が。3回くらい確認し、間違いないと確証を得てから捕獲。さて、自宅には2~3年に1度、カブトムシやクワガタムシが飛んでくることがあり、廊下やベランダに落ちているのを見かけるのですが。今回はどう考えても窓や何かの隙間から侵入したとしか思えない。さもなければ、知らないうちにどこかで私の作業服にとりついて、そしてそのまま一緒に家の中に入ってしまったのか。ノコギリクワガタが侵入可能な建物の隙間って何ミリだ?変に気になってしまい、眠れない夜になってしまいました。

 余談。腹ペコのまま置いておく訳にもいかず。早朝コンビニへ走り、自分の朝ごはんとともにバナナも購入。100均で購入し、駄目にしても心があまり痛まないカメラのパーツケースに餌のバナナとともにクワガタを投入。なおこの日は朝から出張だったのですが、とんだ災難です。この前のカブトムシの雌といい、何故出張の日に限って彼らは私の目の前にやってくるのか。

 そしてエピローグ。たまたま会社に別の案件で捕獲されたノコギリクワガタの雄がいたため、同居させてあげることにしました。相性も良いみたいで恐らく繁殖も可能でしょうが、あいにく私が卵から育てられるのはカブトムシだけです。クワガタの卵からの飼育は分からない。山に返してあげるのがベターでしょう。迷子のところを保護し、食事も与え、マッチングもしてやり、そして山に返す。何故ここまで面倒を見ないといけないのか。日頃どうしても現場で色々と駆除しなければならないため、たまには虫助けもしなさいという何とかのお告げなのでしょう。さて、次はどんな虫が自宅に飛んでくるのやら・・・。

確認・アップデート

ひなびた町への旅行でしか得られない栄養を摂取して生きる男が書くブログ

意外に多かった神奈川への旅行

 恐縮ですが最初に私事を少しだけ。筆者が旅へ出ようとすれば社内で「また長崎か?」と聞かれます。そがんごっとい行っとるか?試しに過去10年の旅先を調べると1割にも満たずイメージの問題、そしてトップは神奈川で2割強。数値化するとすっきりしますね。

社内の簡易実験の様子(殺虫座の効力確認など)

 そして本題です。日頃、皆様から害虫の駆除方法や殺虫剤の効果など様々なご質問をいただきます。入社年数が経つにつれ経験から先入観に囚われることがあり、自分の回答が正しいか実験して確認する、教科書を読み直して知識を修正する場面が増えてきました。仕事でも確認が大事ですね。その流れから弊社オンラインセミナー(無料)の宣伝です。今週からゴキブリ駆除の基本、殺虫剤の基礎知識、この2題で開催します。基礎の復習にいかがでしょうか、お申し込みはこちらからどうぞ。

手に汗握るスポーツ観戦

 お話は少し脱線。似たようなことはスポーツ観戦でもありますね。プロ野球で例えると、自分の贔屓球団に対して妙に打率の良い気がするライバル球団の打者がいたとして。対戦成績をチェックしてみると意外に大したことがない、そんなこともあるでしょう。たまたま大事な試合で1本打たれた、その記憶を引きずっているだけかもしれません。

朽木の中で越冬していたオオスズメバチの新女王

 話を元に戻して今までの知識を修正する必要があった場面。先日耳に挟んだスズメバチの冬越しが正にそうでした。専門的なお話ですが、スズメバチというものは秋に誕生した女王バチだけが朽木の中などで冬を越します。その際、上の写真のように1つのスペースで女王バチが1匹で過ごすのが普通と記憶していました。しかし近年は1つのスペースでまとまった数の女王バチが冬越しすることもあるらしく、弊社ハチ博士の見立てでは「宅地開発により生息環境(=越冬の場所を含む)が減ったことによる行動変化ではないか」とのこと。こういったところは生き物相手ということもあって新しい情報を入手してアップデートする必要があります。

ランニング中に見つけたクビアカツヤカミキリ

 他に新たな外来生物の話題も。先日は自宅の近くをランニング中にクビアカツヤカミキリを発見。頭を踏みつけて駆除しましたが、こんな身近なところで見つかったことに驚きを隠せませんでした。振り返るとヒアリ、ツマアカスズメバチ、セアカゴケグモなど、これまで日本に様々な外来種が侵入し、問題となってきました。ニュースになって終わりではなくて、現在どの種がどの地域にまで分布を広げているのかといった情報の更新も交えて繰り返し発信されていく必要があるように感じました。

 細々と日々知識の維持、修正、更新といった作業を繰り返しつつ、皆様に色々な情報をお届けできるようこれからも頑張ります。さて、ちょっと前の会議中。少し席を外してた間に今週からのオンラインセミナーの講師に登録されてしまってました。皆様に間違ったことをお伝えしないよう、週明けから講演資料の確認に大忙しです。ちょっと会議の席ば外しとっただけだったとに。なして・・・。

虫たちの移動距離①

試しにヨガをやってみたところ、ものの5分で両足を攣った男が綴るブログ

 某日、久しぶりの出張で東京へ行ってまいりました。始発に近い時間の電車に乗らなければならないところ地元の駅にて落下物を発見、カブトムシの雌。おそらく駅から300メートルほど離れた天神さんの森から飛んできたのでしょう。捨ておくと人に踏まれるかカラスに食われるか。さりとて森まで逃がしに行ってやる時間もない。えぇい、ままよ。

 たまたま持ち合わせていたタッパーに投げ込んで東京出張へ連行。今日は日帰りなので夜に元いた森まで逃がしに行けばよいでしょう。なお、高槻から東京までの距離は片道500キロ以上。野生のカブトムシではまず達成できない移動距離。もし森に住む虫たちに言語やらコミュニティーがあるのだとしたら「うちの森には往復1,000キロの旅をしたカブトムシがいるらしい」と後日話題になるでしょう。

 ところで一般的な昆虫の移動距離はどのくらいか?虫により異なるものの一般家庭でよく見かけるヒトスジシマカの場合は1日に100メートルほど。同じ蚊でもコガタアカイエカでは1,000メートルほどと言われております。

 次にシロアリの羽アリの場合。ヤマトシロアリで100メートル程度、イエシロアリでは1,000メートルほど、あまり長距離は飛べません。ということはシロアリの羽アリが大量に出現した場所があれば、その近くに巣がある可能性が考えられます。仮に自宅の近くで羽アリをたくさん見かけた場合は自宅で発生していないかの点検や、シロアリの予防を検討する必要があるでしょう。

 害虫が続いたので華やかな虫の話題を。渡りをする蝶として知られるアサギマダラの場合、1,000キロ以上を飛行した個体がいるとの報告も散見されます。1,000キロと言えば東京から下関までに匹敵する距離。同じ虫でもこれほど移動する距離が異なるというのもまた面白いお話ですね。他にもハチとかバッタとか、色々な虫の移動距離も後日続編として書きましょうかね。

 さて、往復1,000キロの出張が終わって帰宅。明日は朝早くから現場作業が予定されているので夕飯はコンビニ弁当で簡単に。1日連れ回したカブトムシは腹ペコで森に帰すわけにもいくまい、夕飯と一緒に購入したバナナを与えて腹いっぱいにしておく。かくして1人と1匹、ともに食卓を囲むという奇妙な一夜を過ごし、翌朝カブトムシは無事元いたであろう森へと帰っていったのでありました。

害虫駆除と掃除の深い関係

自宅の掃除機がけ、すいとるっちゃん。綺麗になるけん、みんなもやってみらんね。

 唐突ですが害虫駆除業者と言えば、どんなイメージでしょうか。殺虫剤を撒いていく人と言えば、まぁ正解です。加えて近年では環境改善により害虫が発生しにくい環境を作る人、そのための対策を提案できる人、これが満点の答えではないでしょうか。害虫が発生する根本的な原因は何か。最善の解決策は何か。時に答えがあって無いような世界ですが日々現場で悩み、担当者なりの根拠と道筋を立てて作業をしている訳です。

写真1. 害虫の生息調査の様子。怪しいと思ったらとことん調べるのが勝利への道。

 さて、タイトルの「害虫駆除と掃除の関係」について。特にチャバネゴキブリが相手の場合。これは殺虫剤を撒くだけでなくて「どれだけ現場を掃除できるか」が勝負を左右します。加えて、お客様が簡単に実践できる「きれいな状態を維持するための提案」を閃くことができるかどうか。これが1ヶ月後や2ヶ月後、現場を再訪問した時に「ゴキブリが元通りに増えているか根絶されているか」という結果に直結します。

写真2. 床に散らばる米(赤丸)と散乱するチャバネゴキブリの死骸(青丸)

 ところで掃除といっても具体的に何をするのか。例えば床に落ちている生ゴミ、場合によってはおしぼりやビニル袋、紙類もそうですが、これらをきれいに片づけること。他にゴミ箱の管理、もう少し言えば蓋をきちんと閉めることができる容器にするよう提案すること。食品棚に開封されてそのままの食品や材料が置かれていないか、そういったところのチェックなども含みます。別に床をワックスがけでピカピカにするとか、そういった専門的な清掃とは異なります。もっと簡単に言えば整理整頓。ただの片付けでしょう。

写真3. たまに床に落ちているゴミ。ゴミを掻き出すアイテムで引き出して片づける。

 お断りしておくのは、床にゴミが散乱しているような現場ばかりではないこと。もっと言えば、かなりの清掃が必要な現場、そちらの方がうんと少ないのです。ただし、そういった片付けに苦労する現場。害虫駆除業者にとって何が問題かと言えば大きく2つあります。1つは水で薄めて使用する殺虫剤の効果に悪影響を与えること。もう1つはゴキブリに食べさせて駆除する毒餌(ベイト剤、食毒剤)の効果を落してしまうことでしょう。

写真4. 散乱するゴキブリの死骸。死骸が多く出る割にゴキブリが減らなければ清掃を見直す。

 前者、水で薄めて散布する殺虫剤だと床に落ちている生ゴミやビニル袋、紙類がシェルターの役割を果たし、ゴキブリに直接殺虫剤を当てられないことが問題です。基本的に薬液を浴びせる、または薬液がかかった場所を歩かせるか、そこで休息させるなどしてこれらの殺虫剤は効果を発揮します。ところがゴミがあることでそういった効果が期待できないのです。実験的にゴミを多くした飼育容器とそうでない飼育容器を作ってゴキブリを放ち、そこに殺虫剤を撒いてみたところ、生存率には大きな違いがあったことからもこれは明らかです。

 後者、ゴキブリに食べさせて駆除する毒餌の場合をみましょう。生ゴミが周りにあるということは、毒餌以外にもゴキブリにとって食べるものがあることを意味します。当然、設置された毒餌をゴキブリが見つける、そして食べる確率が低下し、その分殺虫効果も低下する訳です。ことさら問題なのはゴキブリという小さな生き物のため必要な餌の量も少なくて済む、つまりわずかな量の生ゴミでも十分足りてしまうということです。

 他にも挙げ出すとマニアックになりますが、なんとなく想像がついたのではと思います。これが害虫駆除において掃除が大事だという理由です。さて、現場で作業を終えて休憩のためコンビニに立ち寄る、あるいは次のお客様の元に向かう。汚れた姿のままお邪魔する訳にはいきませんので、汚れがつかないよう作業中は膝当てや手袋を着用し、場合によっては上着だけでも新しいものに交換することが我々に求められます。一方で現場の奥から油じみ、埃や粉塵だらけの姿で戻ってきたということは、きちんと調査・清掃をして殺虫剤を散布した。やるべきことを確実にこなした証拠でもあります。一言、ねぎらいの言葉だけかけていただけますと嬉しいです。作業に従事した皆一同、大いに喜ぶと思います。