研究者は研究対象の生き物に似てくるのかという考察

してみせて、言って聞かせてさせてみて、褒めてやってもなかなか動かない男が書くブログ 。

 とうとう4月が始まった。巷で飛び交う入社式という響きに、ふと自分の新人時代を思い出す時もある。振り返ると色々あった。本当に色々あった。まさかネズミの研究を命じられるとは当時考えてもみなかった。そしてそんな研究の日々で感じた疑問について本日は書きたい。しばしお付き合いいただければ幸いである。

 さて本題に移る。その疑問とは何か?ずばり、研究者は研究対象の生き物にだんだん似てくるのかという噂である。馬鹿馬鹿しい話であるが、古来より火の無いところに煙は立たぬとも言う。大真面目に議論する余地はありそうだ。そこで筆者とネズミを例にして考察したい。いささか自分語りが入る点はご容赦願いたい。

 では人(今回は筆者)と研究対象(今回はネズミ)、果たしてどこが似てくるのだろうか?まず見た目に着目したい。姿や形がネズミに似てくるのか?真剣に論ずるならば、あり得ない。残念ながら人間には尻尾が無いし、顕著に伸びた前歯もない。ましてや体毛の量においては惨敗である。及ぶべくもない。加えて、そもそも互いに骨格が根本的に異なる。たとえネズミを二足歩行させたとて筆者と立ち姿は似ても似つかないだろう。このように姿や形が似る説は否定されるのではないか。

 ならば、次に仕草が似てくるという行動的な部分を論じてみたい。これは案外当てはまるかもしれない。というのは現場で何度もネズミを観察する、そしてそれを会社の同僚など誰かに身振り手振り交えて説明する、これを長年繰り返しているとネズミの動きを完全にトレースしてしまうようになる。こうなると、ふとしたジェスチャーにも「なんか本物のネズミっぽい雰囲気」が出てしまうのであろう。このように動きがネズミに似てくる、これは真実かもしれない。

 そう考えると、思考回路が似てくるという指摘もあながち間違いとは言い切れない。何故か?一つは「ネズミが見ている世界」とのズレを埋めようと日々研究しているからかもしれない。例えば餌の好みの調査にしても、現場のネズミが好む食品とそうでない食品の食べ比べをする、成分表を見比べる、時にはそんなこともする。これを拗らせると自分の食事も同じ視点で見ようとし始める。周囲から「ネズミ化している」と言われる所以はこんなところにあるのかもしれない。

 最後に、日頃の言葉遣いも多少影響してはいまいか。なにも語尾に「チュー」とかつけている訳ではない。それは社会人として憚られる行為である。ただ、ネズミには通路や部屋の隅といった壁に沿って歩いたり走ったりする習性がある。専門用語として隅行性(ぐうこうせい)とか壁伝い行動と呼ばれるものである。そして筆者も会議や食事会の席、また集合写真の撮影では隅っこを好む癖があり、これをして「ネズミと同じく偶行性があります」みたいに学会の懇親会や研修会の壇上でやってしまうのである。もはや身から出た鼠である。

 結論として研究者が研究対象の生き物に似る、これはある意味で真実だと思われる。そしてそれは研究対象を細大漏らさず観察し勉強し続けたあまり、行動や判断基準までを自身へ投影し過ぎた結果ではなかろうか。裏を返せば、それだけ愛と熱意を持って研究対象と向き合ってきた証かもしれない。いささか自己正当化が過ぎるように思うが、今日のところはそんな考察をもって筆を置かせていただきたい。

新年ご挨拶と去年我が家に侵入した虫たちのこと

年始に合わせて靴を新調したせいで、当分の間はランチや飲み会の帰りに自分の靴がどれだか分からなくなるであろう男が綴るブログ

 新年あけましておめでとうございます。皆様にとって本年が幸多き一年となりますようお祈り申し上げます。また今年も弊社をどうぞよろしくお願いいたします。

  さて、ご挨拶に続いて新年最初の投稿である。干支に合わせたヘビの話題をお届けできれば理想的である。しかしどうだ、取り掛かってみるとかなり難しい。月並みな内容に終始するか、ここに載せられないようなグロテクスな写真の羅列が関の山であった。やはり蛇の道は蛇である。それは専門家に任せるとして違うお話をしたい。しばしお付き合いいただければ幸いである。

いつもの年末恒例行事

  いささか自分語りで恐縮だが筆者には年末のルーティンがある。それは私が知らないうちに自宅へ侵入し、そしてリビングにある照明カバーの中へ入り、そこで空しく死んでいった虫の調査である。具体的にはそんな虫たちの死骸の数(大雑把に)と虫の種類数を1年おきに記録する作業となる。一般人から見ればただの奇行である。

 去年度(2024年分)のソレを調べている様子。照明カバーを外し、その中で見つかった虫の死骸を一ヶ所に集めてカップに移す。こうして得た虫たちの死骸をその後会社に持ち込んで顕微鏡で観察するのである。去年の分(2024年)、一昨年の分(2023年)、そして数年前の分(例えば2016年)とデータは年を重ねるにつれ蓄積されていく。奇行とて継続は力なりである。

 概要は以上、そして昨年1年間の結果発表である。合計17匹であった。一昨年と同様に極めて少ない。最も多いユスリカの仲間でさえ15匹にとどまった。このユスリカ類だけでもかつての最盛期では72匹を数えた。それが今はこの凋落ぶりである。家の中に侵入した虫の数が少ない。ブログの尺が持たない。そんなことで頭を抱えている人間は世界広しと言えども筆者一人であろう。

 閑話休題。他にはタマバエの仲間が1匹見つかった。種類によって植物に寄生する、アブラムシを食べるなど、生活の仕方とか習性といった専門的にいうところの「生態」が異なるため、一括りにして論じることが難しいグループである。一つ言うならば、外から建物の中へと侵入することの多い虫という点だろうか。

 最後にチョウバエの仲間が1匹。これは外から建物の中へと侵入することもあるが、お風呂場や台所など水回りで湧いて出ることの方が多い。つまり家の中から発生しやすい虫である。この死骸に限れば、さしづめ去年筆者と死闘を演じたものたちの残党か子孫のなれの果てであろう。以上、去年分の調査であった。

 ところで筆者をこのような奇行に駆り立てる動機は何か?好奇心である。実に度し難い。しかしこうした年に1回の観察を続けた結果、一つ発見があった。それは直近2年を境に照明カバーの中で死んでいた虫の数と種類数が大幅に減少したことである。ではその境目で自宅に起きた変化は何か?照明を蛍光灯からLED灯に換えたことが挙げられる。それが本当の理由なのか。勘違いで別の要因があるのか。まだ結論は出ない。議論の余地はある。ただ真面目に言えば、これもまた科学である。日々の業務の中にもこうした遊び心は大事である。

できるだけ早く虫の侵入を察知する方法

 さて、この調査を例えば極端な話、年に1回ではなく1時間に1回くらいの短い間隔に変更すると何が起きるか?明快である。虫が家の中に入ったことをリアルタイムに近い形でチェックできるようになる。もちろんこの方法で調べるのであれば「虫に照明カバーの中へ入ってもらう必要がある」という前提条件に注意が必要である。そしてそこから話を大きく飛躍させる。実はそんなリアルタイムのチェックと似たようなことを可能にする道具が世の中には存在する。ペストビジョンFC型である。

 詳細はホームページに詳しい。ここでは概要のみを述べる。飛び回る虫が寄り付きやすい光を放つ機械(一般に捕虫器と呼ばれる)の一種であり、おびき寄せた虫を機器内部にセットした粘着紙(一般に捕虫紙と呼ばれる)で捕獲する。そして一定時間おきにその粘着紙を撮影し、そこにくっついて捕まった虫の数をAIで解析・カウントしてくれるのである。 なお、本機はいわゆるIoT機器である。察しの良い方はその通り、粘着紙で捕獲した虫の数は専用ウェブサイトから確認可能である。つまり現場へ行かずともウェブ上で捕獲の状況を把握できる。

 加えて捕獲が一定数(設定値)を超えると本体のLEDランプが緑色(平常時)から赤色(警告時)に変わる。またメールでアラート通知が届く。これらの機能も見逃せない。「言いたいことが分かったぞ」という声が聞こえてきた。その通りである。例えば食品工場や医薬品工場など虫がいては困る施設で「虫の侵入が起きていないか、きめ細かくチェックしたい」というリクエストに応え得るマシンである。

 ここから先は担当者に引き継ぐが、もし興味のある方がおられたら幸いである。是非お問い合わせをいただきたい。さて、年始早々に話題が害虫駆除の道具へと行き着いてしまった。これは当ブログの宿命である。水をお風呂場のどこへ流しても最後は排水口へと流れ着くのと同じである。ところで本日もよく仕事を頑張った。そろそろ帰宅してお風呂の時間にしたいと思ったところで筆を置かせていただきたい。

転ばぬ先の防虫対策

秋分の日と打ったはずなのに醜聞の日と変換されてしまった男が書くブログ

 某日、帰宅直前の社内階段にて。壁面に何かが付着していました。いつも通りハエトリグモかと思っていましたがコオロギとかバッタ系の虫でした。調べる気力がありません、気が向けば後日改めて種名を掲載します。サイズ比較はこの通り、一円玉よりもうんと小さいです。

 なお、その虫がへばりついていたのは階段のココ。指で指し示してみましたが微妙だったので矢印を追加しています。こんな小さな虫がよくこんな高さまで上がって来れたなと感心しました。

 せっかくなので記録を残しておいてあげましょう。翌日、調査で使用するレーザー距離想定器で実際に到達した高さを図ってみました。現場の人間あるある、仕事で使う機材を日常の些細な出来事に使ってしまうアレですね。

 さて、その結果はこちら。高さ4メートル。地道に階段を登り続けたのか、あるいは壁を延々と登り続けたのか。いずれにせよ、あんな小さな虫にしては快挙でしょう。まぁ、毎年年末に42.195キロのフルマラソンを走る弊社メンバーも人のことは言えませんが。

 ところで弊社の玄関周りは駐車場や倉庫などコンクリートの海が広がっています。そしてお隣さんの建物も同様で、その裏にようやく草地があるという具合。それでも小さな虫が弊社に辿り着いて屋内に侵入し、そして4メートルの高さまで侵入していた。この事実には少し驚きです。

 つまり異物混入対策として虫の侵入に注意を払わなければならない工場や飲食店も同様で、「まさかこんな場所にまで虫が!?」ということの無いようにしなければなりません。定期的に虫取りトラップを置いて虫が侵入していないかチェックする、建物の外周に色々な害虫に効く殺虫剤を散布するなど、日ごろの防虫対策の積み重ねが転ばぬ先の杖になってくれるのではないでしょうか。

 それと最後に。今回活用したレーザー距離測定器を含め現場あるあるなのが機器類の電源切り忘れ。そして次の現場で使おうと思ったら電池が切れているという・・・。使ったら電源を切る、現場の鞄には万一のために予備の乾電池を入れておく、転ばぬ先の杖として心がけておきたいことですね。現場の監督者のような言葉を申し上げたところで本日は筆を置きたいと思います。

ベランダのくっつき虫にご用心

自宅で干している洗濯物にさえ虫が寄り付いてしまう男が綴るブログ

某日、ベランダで干していた服を取り込んだ時のこと。右わき腹に何かがついていますね。本当に小さくて黄色い点。ゴミかなと思いつつ観察。

拡大するとコレです。キイロテントウ。テントウムシはテントウムシでも食べるのはアブラムシではなくて菌(野菜などにつくうどんこ病菌)という変わり者。私の服によからぬ菌がついているのではなく、たまたま服に付着してしまったのでしょう。こうして家の中に持ち込まれてしまったキイロテントウ。特に悪さをする訳ではないのでベランダから釈放。

さて、テントウムシ程度で済めばよいですが。時にはカメムシがが干してある布団や服にくっついていることもあります。そういえば最近ベランダでカメムシを見かけないでしょうか?では、洗濯物ごとカメムシを部屋の中に入れないようにする方法は何か?取り込む前に彼らがくっついていないかチェックするだけですがここで新たな問題。見つけたカメムシにどう対処するか?筆者のように素手で対応できればそれでよいですが、それは無理という方はぜひ「布団や服についたカメムシにも散布できる殺虫剤」をお試しください。

・・・このところネタ切れです。お盆休みに何か面白い話題を集められないかどうか、頑張ります。ではまた次回!

虫たちの侵入できる隙間①

減量のためしっかり運動し、そしてその分がっつり食べてしまう男が綴るブロク

 近畿地方は梅雨明けしましたが、雨がしとしと降り続いた今月初め頃に時間を巻き戻して。写真は某日お昼ご飯を買いに行った時のワンシーンで、ツマグロヒョウモンらしき蝶が草の陰で雨宿りしていました。こんな蝶すら舞わない鬱陶しい天気の中、夕方から現場作業に出かけました。湿気る作業着、浸水する作業靴、心にカビが生えそうです。

 とはいえ現場作業と言ってもこの日は軽装。オープンツールバッグと書けばいいのでしょうか、こんな上側がガバッと空いた鞄を持ち歩き。そして中には自分が身に着けるための膝当てと手袋、加えて謎な紙の束が少々入っているだけ。

 その紙の束を現場で組み立てるとこの通り。ゴキブリなどの害虫を捕獲するためのトリモチに変身。我々業者がチェックシートや調査用トラップと呼ぶものです。これはゴキブリが通ったり居座ったりしそうま場所に置いておき、その現場のどこでゴキブリがどのくらい捕獲されるかを調べるために使います。今回は殺虫剤を撒いた後の効果判定のため、少し前から現場に置いてあるトラップを新しいものと交換することが目的です。

 ちなみにターゲットはこちら、 クロゴキブリです。リアルや写真は避けましょう、模型で代用します。家によく出る大きなゴキブリで恐怖の対象です。家の中で繁殖する印象がありますが、実は家の外から侵入することも多いのです。従って建物周りでの駆除や、部屋の中への侵入経路の特定も駆除を請け負う側にとっては重要なポイントになっていきます。

 ここで豆知識ですが、クロゴキブリが侵入できる隙間の大きさとは?それは3.5mmほどと言われております。どのくらいかと言えば100円玉が2枚くらい入る隙間です。扉と床の隙間はもちろん、壁と床の間に何か屋外から差し込む光が見えるな~というところも要注意です。

 余談が過ぎますが、ネズミの場合はハツカネズミで7ミリほど、ドブネズミやクマネズミの子供であれば12ミリくらいの隙間を注意しなければなりません。こちらもネズミは実物の写真を避けてぬいぐるみで代用しましょう。目安としては、指が2本入るくらいの穴や隙間はネズミがやってくるかもしれないと考えて封鎖をしなければなりません。なかなか大変です。

 さて、そんなこんなで現場の調査用トラップを交換し、作業は完了。今回もクロゴキブリがちらほら捕獲されていました。時間が時間なので自宅に直帰し、作業鞄は玄関に置きました。作業鞄の中にはまだ生きているゴキブリが引っ付いたトラップも入っていましたが、まぁ脱走することもあるまいと思ってそのまま放置。そしてそれを忘れたまま時間は過ぎ、やがて就寝の時間に。そしてその深夜。突如虫が飛び回るような爆音で目が覚め、そして月明り越し目を凝らすと黒くて楕円形の虫が視界に入りました。・・・まずい、まさかトラップから脱走したクロゴキブリがいるのか?

 恐る恐る部屋の電気をつけると、何故かそこにはノコギリクワガタの雌が。3回くらい確認し、間違いないと確証を得てから捕獲。さて、自宅には2~3年に1度、カブトムシやクワガタムシが飛んでくることがあり、廊下やベランダに落ちているのを見かけるのですが。今回はどう考えても窓や何かの隙間から侵入したとしか思えない。さもなければ、知らないうちにどこかで私の作業服にとりついて、そしてそのまま一緒に家の中に入ってしまったのか。ノコギリクワガタが侵入可能な建物の隙間って何ミリだ?変に気になってしまい、眠れない夜になってしまいました。

 余談。腹ペコのまま置いておく訳にもいかず。早朝コンビニへ走り、自分の朝ごはんとともにバナナも購入。100均で購入し、駄目にしても心があまり痛まないカメラのパーツケースに餌のバナナとともにクワガタを投入。なおこの日は朝から出張だったのですが、とんだ災難です。この前のカブトムシの雌といい、何故出張の日に限って彼らは私の目の前にやってくるのか。

 そしてエピローグ。たまたま会社に別の案件で捕獲されたノコギリクワガタの雄がいたため、同居させてあげることにしました。相性も良いみたいで恐らく繁殖も可能でしょうが、あいにく私が卵から育てられるのはカブトムシだけです。クワガタの卵からの飼育は分からない。山に返してあげるのがベターでしょう。迷子のところを保護し、食事も与え、マッチングもしてやり、そして山に返す。何故ここまで面倒を見ないといけないのか。日頃どうしても現場で色々と駆除しなければならないため、たまには虫助けもしなさいという何とかのお告げなのでしょう。さて、次はどんな虫が自宅に飛んでくるのやら・・・。

確認・アップデート

ひなびた町への旅行でしか得られない栄養を摂取して生きる男が書くブログ

意外に多かった神奈川への旅行

 恐縮ですが最初に私事を少しだけ。筆者が旅へ出ようとすれば社内で「また長崎か?」と聞かれます。そがんごっとい行っとるか?試しに過去10年の旅先を調べると1割にも満たずイメージの問題、そしてトップは神奈川で2割強。数値化するとすっきりしますね。

社内の簡易実験の様子(殺虫座の効力確認など)

 そして本題です。日頃、皆様から害虫の駆除方法や殺虫剤の効果など様々なご質問をいただきます。入社年数が経つにつれ経験から先入観に囚われることがあり、自分の回答が正しいか実験して確認する、教科書を読み直して知識を修正する場面が増えてきました。仕事でも確認が大事ですね。その流れから弊社オンラインセミナー(無料)の宣伝です。今週からゴキブリ駆除の基本、殺虫剤の基礎知識、この2題で開催します。基礎の復習にいかがでしょうか、お申し込みはこちらからどうぞ。

手に汗握るスポーツ観戦

 お話は少し脱線。似たようなことはスポーツ観戦でもありますね。プロ野球で例えると、自分の贔屓球団に対して妙に打率の良い気がするライバル球団の打者がいたとして。対戦成績をチェックしてみると意外に大したことがない、そんなこともあるでしょう。たまたま大事な試合で1本打たれた、その記憶を引きずっているだけかもしれません。

朽木の中で越冬していたオオスズメバチの新女王

 話を元に戻して今までの知識を修正する必要があった場面。先日耳に挟んだスズメバチの冬越しが正にそうでした。専門的なお話ですが、スズメバチというものは秋に誕生した女王バチだけが朽木の中などで冬を越します。その際、上の写真のように1つのスペースで女王バチが1匹で過ごすのが普通と記憶していました。しかし近年は1つのスペースでまとまった数の女王バチが冬越しすることもあるらしく、弊社ハチ博士の見立てでは「宅地開発により生息環境(=越冬の場所を含む)が減ったことによる行動変化ではないか」とのこと。こういったところは生き物相手ということもあって新しい情報を入手してアップデートする必要があります。

ランニング中に見つけたクビアカツヤカミキリ

 他に新たな外来生物の話題も。先日は自宅の近くをランニング中にクビアカツヤカミキリを発見。頭を踏みつけて駆除しましたが、こんな身近なところで見つかったことに驚きを隠せませんでした。振り返るとヒアリ、ツマアカスズメバチ、セアカゴケグモなど、これまで日本に様々な外来種が侵入し、問題となってきました。ニュースになって終わりではなくて、現在どの種がどの地域にまで分布を広げているのかといった情報の更新も交えて繰り返し発信されていく必要があるように感じました。

 細々と日々知識の維持、修正、更新といった作業を繰り返しつつ、皆様に色々な情報をお届けできるようこれからも頑張ります。さて、ちょっと前の会議中。少し席を外してた間に今週からのオンラインセミナーの講師に登録されてしまってました。皆様に間違ったことをお伝えしないよう、週明けから講演資料の確認に大忙しです。ちょっと会議の席ば外しとっただけだったとに。なして・・・。

害虫駆除と掃除の深い関係

自宅の掃除機がけ、すいとるっちゃん。綺麗になるけん、みんなもやってみらんね。

 唐突ですが害虫駆除業者と言えば、どんなイメージでしょうか。殺虫剤を撒いていく人と言えば、まぁ正解です。加えて近年では環境改善により害虫が発生しにくい環境を作る人、そのための対策を提案できる人、これが満点の答えではないでしょうか。害虫が発生する根本的な原因は何か。最善の解決策は何か。時に答えがあって無いような世界ですが日々現場で悩み、担当者なりの根拠と道筋を立てて作業をしている訳です。

写真1. 害虫の生息調査の様子。怪しいと思ったらとことん調べるのが勝利への道。

 さて、タイトルの「害虫駆除と掃除の関係」について。特にチャバネゴキブリが相手の場合。これは殺虫剤を撒くだけでなくて「どれだけ現場を掃除できるか」が勝負を左右します。加えて、お客様が簡単に実践できる「きれいな状態を維持するための提案」を閃くことができるかどうか。これが1ヶ月後や2ヶ月後、現場を再訪問した時に「ゴキブリが元通りに増えているか根絶されているか」という結果に直結します。

写真2. 床に散らばる米(赤丸)と散乱するチャバネゴキブリの死骸(青丸)

 ところで掃除といっても具体的に何をするのか。例えば床に落ちている生ゴミ、場合によってはおしぼりやビニル袋、紙類もそうですが、これらをきれいに片づけること。他にゴミ箱の管理、もう少し言えば蓋をきちんと閉めることができる容器にするよう提案すること。食品棚に開封されてそのままの食品や材料が置かれていないか、そういったところのチェックなども含みます。別に床をワックスがけでピカピカにするとか、そういった専門的な清掃とは異なります。もっと簡単に言えば整理整頓。ただの片付けでしょう。

写真3. たまに床に落ちているゴミ。ゴミを掻き出すアイテムで引き出して片づける。

 お断りしておくのは、床にゴミが散乱しているような現場ばかりではないこと。もっと言えば、かなりの清掃が必要な現場、そちらの方がうんと少ないのです。ただし、そういった片付けに苦労する現場。害虫駆除業者にとって何が問題かと言えば大きく2つあります。1つは水で薄めて使用する殺虫剤の効果に悪影響を与えること。もう1つはゴキブリに食べさせて駆除する毒餌(ベイト剤、食毒剤)の効果を落してしまうことでしょう。

写真4. 散乱するゴキブリの死骸。死骸が多く出る割にゴキブリが減らなければ清掃を見直す。

 前者、水で薄めて散布する殺虫剤だと床に落ちている生ゴミやビニル袋、紙類がシェルターの役割を果たし、ゴキブリに直接殺虫剤を当てられないことが問題です。基本的に薬液を浴びせる、または薬液がかかった場所を歩かせるか、そこで休息させるなどしてこれらの殺虫剤は効果を発揮します。ところがゴミがあることでそういった効果が期待できないのです。実験的にゴミを多くした飼育容器とそうでない飼育容器を作ってゴキブリを放ち、そこに殺虫剤を撒いてみたところ、生存率には大きな違いがあったことからもこれは明らかです。

 後者、ゴキブリに食べさせて駆除する毒餌の場合をみましょう。生ゴミが周りにあるということは、毒餌以外にもゴキブリにとって食べるものがあることを意味します。当然、設置された毒餌をゴキブリが見つける、そして食べる確率が低下し、その分殺虫効果も低下する訳です。ことさら問題なのはゴキブリという小さな生き物のため必要な餌の量も少なくて済む、つまりわずかな量の生ゴミでも十分足りてしまうということです。

 他にも挙げ出すとマニアックになりますが、なんとなく想像がついたのではと思います。これが害虫駆除において掃除が大事だという理由です。さて、現場で作業を終えて休憩のためコンビニに立ち寄る、あるいは次のお客様の元に向かう。汚れた姿のままお邪魔する訳にはいきませんので、汚れがつかないよう作業中は膝当てや手袋を着用し、場合によっては上着だけでも新しいものに交換することが我々に求められます。一方で現場の奥から油じみ、埃や粉塵だらけの姿で戻ってきたということは、きちんと調査・清掃をして殺虫剤を散布した。やるべきことを確実にこなした証拠でもあります。一言、ねぎらいの言葉だけかけていただけますと嬉しいです。作業に従事した皆一同、大いに喜ぶと思います。

ようやくお参り2024年

「初詣」と打ったはずが「発毛で」と変換されてしまった男が綴るブログ

 早くも2月になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。能登半島地震の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 さて某日、ようやく地元の氏神様へご挨拶に行ってきました。はよ行かなと思いつつ気がつけば月末でした。何をするにも腰は重い、しかし今日の足取りは軽く。鳥居へと続く階段を登りましょう。

 そしてそんな道中に現れるのが様々な虫の死骸。いきなり何ちゅうもん見せてくれるんや・・・。階段の途中にトビズムカデでしょうか。時季を考えると落ち葉の下や土の中で冬眠しているはず。それが境内の掃除などでほじくり出され、寒さで身動きが取れないまま踏みつけられて死んだのか。殺虫剤使うまでもねぇ。拝殿へ向かう前に早くも合掌。

 気を取り直しましょう。階段を登り切って鳥居の前で一礼、くぐり抜けて手水舎へ。色々と清められた気分となって拝殿に足を運べば、鳴り響くお賽銭が落ちる音。特別何かをお願いする訳でもありません。平穏で些細な毎日で十分です。そうして一仕事終えた気分となって帰途につく。その途中で今度は木の幹に何かを発見。

 ツヤアオカメムシでしょうか。この写真だけでは特定は難しいですが。成虫で越冬するとのことですが、時々スーパーマーケット駐車場の壁や空き家のブロック塀にしがみついたまま息絶えているものを目にします。冬眠場所が悪かったのか、それとも単に寿命を迎えたのか。カメムシに手を合わす人間なんて私ぐらいなものでしょう。なんか気分の上がらない1月でしたが、ここから上がってまた下がって、そんな繰り返しでのらりくらりと本年も頑張ろうと思います。

力振り絞って年末大掃除 仄暗い排水口の底から咽ぶ哀

原稿の締め切りに追われながらサンタを追いかけた男がクリスマスのかなり後に書くブログ

 クリスマスのスケジュール帳には今年も真っ白な大雪原が広がっていました。それはすなわち、真っ白。予定無し。いっそ南半球へ旅立つべきか?何も解決しません。広がる空と海のようなブルーな気持ちになるだけでしょう。皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか?

 ところで毎年恒例、我が家の昆虫相(コンチュウソウ)調査。今年はどんな虫が家の中に飛んできて、そして照明の傘の中で死んでいるのでしょうか?知らぬうちに色んな虫が住み着いて昆虫荘になっていなかったか?去年くらいから照明が虫を寄せ付けにくいと言われているLEDに替わってしまったけれど、その影響はあるのか無いのか。さぁ、年末大掃除のついでにレッツチェック!

 ・・・おや?意外に少ないぞ、虫の種類も、その数も。真っ先に飛び込んできたのはユスリカの仲間。これが2〜3匹。今までの最高記録は72匹でしたが。

 あとはノミバエの仲間が1匹。一般に生ゴミや動物の死骸といった、肉とかそういうのが腐ったものから発生します。これが屋内でうじゃうじゃ発生するようであれば、年も末じゃなくて世も末。これはごく少数しか見つからないはず。

 そして最後、アブラムシっぽいのが1匹。以上、死骸の数は全部ひっくるめて5〜6匹。最盛期は100匹近く見つかったのに。困ったな、ブログの尺がもたないぞ。照明をLEDに替えた影響なのか定かではありませんが、まぁ今年はこんなもんでした。

 さて、尺がもたなくなってしまったので話題を追加。年末ということで自宅の大掃除。場面は目まぐるしく変わってキッチンへ。写真を見てお分かりでしょうか?日頃現場で「排水口の防臭ワンの裏のヘドロみたいな汚れもチョウバエの発生源になるので、ココもきちんと掃除してくださいね」と伝えているのですが…自分の家のも掃除していなかったという。そして恐る恐る外してみると顕になった深緑色のゼリーみたいなの、それと現場で嗅いだことがあるニオイ。溢れ出る涙と嗚咽。

 メラミンスポンジで汚れをこそげ落とし、そして最後に仄暗い排水口の底から湧き出たニオイを吐き出そうと換気扇のスイッチに手を伸ばしたところで…さっきまで清掃していた換気扇の蓋を発見。おっとっと。蓋をしておかないと。

 年末の大掃除は何かと慌ただしいですが、ちょっとした拭き掃除にお湯を使おうとしてヤカンを火にかけたままにしていないか、水道の水を出したままにしていないか、換気扇の蓋とかをし忘れていないか、怪我や事故の無いようご注意ください。

 そして自宅で大掃除が終わってからの、翌日の会社の大掃除。あらかた皆さんが済ませてくださりますので、僕は自分の机周りをちょこちょこと清掃するだけ。すると、おや?セロテープの中にゴミが溜まっている?細かいところですが掃除をしましょう。

 そしてゴミと一緒に発見、ノシメマダラメイガらしき死骸。細々としたところを掃除していると色々なものが見つかりますね。どうせなら500円玉の1枚や2枚くらい出てきてくれたら嬉しいのですが、まぁそれはおいといて。思わぬところに虫の死骸が落ちていることがある、それが何かの拍子にふわっと風に乗って舞うことがある。それが食品工場や倉庫の施設だと、製品の中にそんな虫の死骸がひょいっと混入して問題になることがあるかもしれません。言われなくても、というお話ではありますが、細かなところのお掃除も年末に実施していただければと思います。

 さて、自宅の大掃除が終わり。会社の大掃除も終わり。明日から実家の大掃除が待っています。まさに大掃除のトライアスロンです。今年も大掃除が山ほどあって大変疲れた、きゃーないた、という年の瀬になりそうです。それはさておき。皆様も良いお年を。

米びつにチャタテムシ、再び

仮想空間でハロウィーンを楽しみたい男が綴るブログ

 明け方は寒いのですが現場に出ていると汗ばむ、訳が分からない気候ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。私は先週から鼻水が止まりませんが、どうぞ皆様ご自愛ください。

 さて今年は特に暑さが厳しい夏でしたが会社で買っていただいた空調服も今シーズンはこれで看板でしょう。バッテリーを外して周辺機器を無くさないようまとめて引き出しの中へ。代わりにジャンバーの出番が回ってきます。

 ところで現場作業と出張が続いたため自宅でお米の消費が滞りました。たぶん残り5~6合を消費するのに1ヶ月かかったでしょう。近所の八百屋さんで新たに購入した新米と入れ換えるかたちで最後の1合を炊こうとした時。米に混じる茶色い粉末が。

 また君たちか…黒っぽくみえる粉状のものはチャタテムシの死骸。食べる訳にはいかないけれど捨てるのももったいない。昆虫の餌に使用することに。今日は新米炊いて食べましょう。

 ついでなので米びつを洗っておくことに。死骸とかこびりついてそうなので。そういえば米びつって皆様どのくらいの頻度で洗うのでしょうか。ちょっと気になりました。

 最後の仕上げ。米びつに気を取られ、この計量カップの中も洗うことを忘れていると折角の新米にチャタテムシの死骸が紛れ込みます。黒っぽい粉が見えるでしょうか。敢えて引いたアングルで撮影しておりますが。なお、対策は虫が湧く前に早く消費する、そして定期的に米びつとかきれいにしておく、そんなところでしょうか。

 さて、新米食べて明日も元気に過ごしましょう。