虫たちの移動距離①

試しにヨガをやってみたところ、ものの5分で両足を攣った男が綴るブログ

 某日、久しぶりの出張で東京へ行ってまいりました。始発に近い時間の電車に乗らなければならないところ地元の駅にて落下物を発見、カブトムシの雌。おそらく駅から300メートルほど離れた天神さんの森から飛んできたのでしょう。捨ておくと人に踏まれるかカラスに食われるか。さりとて森まで逃がしに行ってやる時間もない。えぇい、ままよ。

 たまたま持ち合わせていたタッパーに投げ込んで東京出張へ連行。今日は日帰りなので夜に元いた森まで逃がしに行けばよいでしょう。なお、高槻から東京までの距離は片道500キロ以上。野生のカブトムシではまず達成できない移動距離。もし森に住む虫たちに言語やらコミュニティーがあるのだとしたら「うちの森には往復1,000キロの旅をしたカブトムシがいるらしい」と後日話題になるでしょう。

 ところで一般的な昆虫の移動距離はどのくらいか?虫により異なるものの一般家庭でよく見かけるヒトスジシマカの場合は1日に100メートルほど。同じ蚊でもコガタアカイエカでは1,000メートルほどと言われております。

 次にシロアリの羽アリの場合。ヤマトシロアリで100メートル程度、イエシロアリでは1,000メートルほど、あまり長距離は飛べません。ということはシロアリの羽アリが大量に出現した場所があれば、その近くに巣がある可能性が考えられます。仮に自宅の近くで羽アリをたくさん見かけた場合は自宅で発生していないかの点検や、シロアリの予防を検討する必要があるでしょう。

 害虫が続いたので華やかな虫の話題を。渡りをする蝶として知られるアサギマダラの場合、1,000キロ以上を飛行した個体がいるとの報告も散見されます。1,000キロと言えば東京から下関までに匹敵する距離。同じ虫でもこれほど移動する距離が異なるというのもまた面白いお話ですね。他にもハチとかバッタとか、色々な虫の移動距離も後日続編として書きましょうかね。

 さて、往復1,000キロの出張が終わって帰宅。明日は朝早くから現場作業が予定されているので夕飯はコンビニ弁当で簡単に。1日連れ回したカブトムシは腹ペコで森に帰すわけにもいくまい、夕飯と一緒に購入したバナナを与えて腹いっぱいにしておく。かくして1人と1匹、ともに食卓を囲むという奇妙な一夜を過ごし、翌朝カブトムシは無事元いたであろう森へと帰っていったのでありました。

ノシメマダラメイガ、現る

ご飯を粗末にする虫には、お仕置きが必要かな。

某日、社内で届けられた小豆の袋。僕もよくお世話になってる方の
お店で見つかった物らしい。
さて、その問題は小豆の中に混じっていた異物。これは、何だろう?
咄嗟に虫の仕業と見当をつけるけれど、次に気になるのは虫の種類。
安直に、アズキゾウムシ・・・加害の様子が何か違う、か。
それと少しして見つかった、糸にまみれた顆粒状の物体。糞かな。
少しずつ絞り込めてきた正体。もう少し、痕跡を探そうか。
そして、とうとう見つかった犯人。それは、ノシメマダラメイガ。
今や一般の方にも広くその名を知られている、貯蔵食品の大害虫。
そう言えば、お店の中で時々見かけたっけ・・・今度、時間が
ある時にボランティアで駆除しに行こうかな。
ところで、どうして彼らが小豆の中に入っていたんだろう?
それは出荷前の袋詰めの時かもしれないし、あるいはお店の
中で保管している間かもしれない。
そんな色々な可能性がある中で覚えておきたいこと。それは
彼らの幼虫の齧る力が強いということ。
孵化したばかりの幼虫なら分からないけれど、発育が進んだ
幼虫であれば厚さ40μmのポリエチレンは貫通されてしまうし、
他に厚さ114μmのクラフト紙だって、低確率ながら穴を開けた
という報告だってある。うん、僕の家にある袋、まずいなぁ。
それと秋の終わりに見られるのがノシメマダラメイガの冬越し。
彼らは幼虫で冬を越して、そして蛹になって翌年の春にまた
成虫が出現する。
なので「そろそろ冬かな?」という頃には冬越しの場所を求めて
歩き回る幼虫の姿を見かけることもあるし、段ボール箱の断面や
コンテナの窪みといったところに繭を作ることだってある。
そうやって荷物の搬入・搬出に使われる資材に幼虫がついたまま
他の場所に運ばれてしまい、そして新たな場所で発生する。
そんなことだって起こり得るから、いつ自分たちが同じような
被害に遭うかなんて分からない。

だから「今は何も侵入していないかな?」ということを客観的に
チェックする目的で使いたいのが「フェロモントラップ」。
「大量に捕獲して駆除する」ためではなくて「早期に侵入を察知」
して「大発生される前に殺虫剤施工などの対策を取る」ための、
例えるならパトロール隊のような道具。
メイガ類をはじめ、貯蔵食品から湧く虫が心配な施設の方には
お勧めしたいアイテムです。

食欲の秋ですが、せっかく買い込んだ食料を台無しにされない
ためにも、どうぞお気をつけて。
・・・では、今週はこのあたりで。最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。

■ 担当者の独り言

1978年10月2日、今から43年ほど前、日本初の南極観測船として
活躍した「宗谷」が退役しました。
最近は思わぬ形で人気を集めているみたいですが、過酷で数奇な
運命を背負った船です。
コロナ禍の今は見学が難しいかもしれないけれど、ネット上でも
体験乗船のようなコーナーもあるから・・・興味がある方は一度、
ご覧いただければと思います。
撮影:宗谷船内(2018年3月17日 前田浩志)
今日はこんなお話をしてしまったから、気になるのは船内に
積み込まれた食品の防虫管理。
またどこかで文献とか資料を見つけることが出来たらいいなと
思います。
撮影:2018年3月17日 前田浩志
「不可能を可能にした奇跡の船」とも呼ばれ、当時の人々にとっての
希望とも言えたのかもしれない存在。
決して穏やかではなかったその航跡が、どこか寂しげに見えてなお
力強くもあり、コロナ禍の今、その力にあやかりたいなと思います。

その熱は、何の熱?

背中押す秋の風、赤とんぼたちの伴走、9月のランニングの一コマ。

コロナ禍の自粛生活が続き、夏らしい思い出も無いまま9月になりました。
涼しくなってきたから、人の少ない場所でランニングなんてどうだろう?
進路に割り込んできた赤とんぼたちと短い間だけの3機編隊を組んでみたり、
池のほとりで誰かが上げた十数連もの見事な凧を眺めてみたり・・・
子供じみてはいるけれど、心が和むなと思います。
そして翌朝、体温計に表示されたいつもよりも高い数値、背筋に走る緊張。
でも、それは新型コロナに感染したからではなくて、ワクチンを接種した
副反応かもしれないし、昨夜の冷房が利きすぎていたせいかもしれない。
それとも、夕方に筋トレを頑張り過ぎたせいかな・・・うん、辛いものは
食べなかったっけ?冷静に一つずつ、原因を考えていけたらと思います。
そういった発熱を伴う症状から連想すること。それはマダニが媒介する
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」をはじめとする様々な感染症。
コロナ禍で「キャンプが流行り」と言われているし、他にも「ひっそり
秋のハイキングを楽しもう」とか「畑で秋の収穫祭をしよう」といった
イベントでマダニと接触する恐れもあるから・・・「うかつに草むらへ
入らない」とか「長袖長ズボン長靴を着用する」、「必要に応じて服に
専用の忌避剤を散布する」などの対策をとっていただければと思います。
それと本題から外れてしまうけれど・・・秋に気をつけたいもう一つの話、
スズメバチ。弊社のマラソン部も過去に大変な目に遭ったので、皆様も
どうぞ注意ください。また小型で携行しやすいハチ用殺虫剤、万一刺された
時のポイズンリムーバーといった応急処置の装備も併せて準備しておくと
心強いかなと思います。

さて、今回は秋に注意したい虫の話に落ち着きましたが、次回も身の回りの
些細な事とか、色々目を向けながら書いていけたらと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

■ 担当者の独り言

2017年7月29日、舞鶴にて
中東海域における安全確保に関する取り組みとして護衛艦「ふゆづき」、
第6次隊として出港したとのこと。
初めて見たのは就役してから間もない2014年の6月、遊覧船の上から。
スマートできれいな船だなと感じました。
一般公開の時に浮環の前で記念写真を撮ってもらったり色々と思い出は
尽きない・・・無事、任務を終えて帰還されることを祈ります。

また順次と思われますが、艦番号を白から視認性の低いグレーに変えて
いるのを最近プレスリリースの写真で目にします。その意味を考えれば、
最悪の事態だけは避けられるよう願うばかりです。

おうちで卵を探そうか

殻を破ろうとしたとて、結局は空回り・・・うん、評価が割れてしまうかな。

新型コロナのニュースに隠れつつ、こっそり話題になっている
ゴキブリと、その卵のお話。
はるか昔の話だなんて思ってしまうけれど、例えばキッチンの
引き出しの奥とかクローゼットの隅とかカーペットの下とか、
身近なところでも彼らの卵やその残骸が見つかったりする。
だから、もしどこか遠くへ引っ越すことになって最後に部屋の
整理をしてみたら、忘れられない思い出になった・・・。
そんなことも、ひょっとしたらあるかもしれない。
さて、身近なところで見つかる卵、か。家の中なら冷蔵庫の中、
お店だったらお皿の上とか、かな。
でも、「大きさ」だとか「食べれるかどうか」まで含めてみれば、
他にもたくさんの卵が息をひそめている。
コロナ禍でどこにも行けない今、家の周りで「卵探し」なんて
どうだろう?きっと、胸と膝が震えるよ。
それでは、まず手始めに庭の植木鉢。特に下が地面になっている
ところだと要注意。もちろん、腰を痛めないようにも注意が必要
だけど、そっと鉢を移動させてみよう。
すると、姿を現した透明できれいな粒々たち。消臭ビーズとか
そんな物に見えるかもしれないけれど、これも立派な卵で、
その正体はナメクジの卵。このまま放っておいたら折角植えた
お花が食べられてしまうかもしれない。スコップですくって、
捨ててしまおう。
それと親が近くにいるかもしれないから、植木鉢を元の場所へ
戻した後に「ナメクジに食べさせて駆除する殺虫剤」を置いて
おくのもいいと思う。
次に、庭木の幹とか枝に見られる「ささくれ」のようなもの。
これはセミが産卵をしたあと。書いているうちにふと思えば、
卵を直接見ることができないね・・・まあ、いいさ。
でも、同じようなものがウッドデッキやラティス(木製の柵)、
木の柱に残されることもあって「猫が引っ掻いたのかな?」と
勘違いされることもある。
今度からは「セミの仕業だ」って思い出していただけたら
嬉しいです。
それと、これは表情を引き締めなければいけないお話。
家の前とか公園とかにある「グレーチング」と言われる溝の蓋。
町内会の掃除くらいしか触る機会はないけれど、この蓋の裏が
意外にも危ないんだ・・・。
その訳がこちら。薄黄色をしたボール状のものが見えるけど
これらは毒グモとして有名なセアカゴケグモの卵。正しくは
卵がたくさん詰まった袋。
卵には殺虫剤が効かないから、その場で踏みつぶすしかない。
それと、周りに親グモや他の子グモがいるかもしれない。
彼らに対処するには溝の壁面や蓋の裏全体にサイベーレ0.5SCを
散布することが効果的。
実際に僕が試してみて、きちんと確かめてみたから大丈夫。
もし使い方とか効果の持続期間とか、興味があれば何でも聞いて
ください。

さて、また来週も、ここでお会いできれたら嬉しいです。
また記事を書けるよう、日常の些細なことにも目を向けて
いけたらと思います。

■ 担当者の独り言

今までたくさんの「船乗りたちの卵」を育ててきた練習艦
「しまゆき」が退役したとのニュースを聞きました。
一般公開の時に甲板の上を歩かせてもらったりもしたから
いざ知らせを聞くと、少し寂しい気もする。
厳しい表情も、はにかんだ笑顔も、どれだけ見守ってきて、
そして見送ってきたのかな・・・長い間、お疲れ様、でした。