聞き齧った情報を元に、旅を続けるねずみ男が書くブログ

唐突な書き出しであるが、日本には「ねずみ」と名前のついた地名が点在する。例えば長野県にあるこの交差点である。名前がおもむろに「ねずみ」である。これは先日、某営業部先輩が撮影して下さったもので素晴らしい一枚である。おまけにカーナビも「この先、ねずみを右折・・・」などと案内してくれるそうである。なんとシュールなひとときであろうか。ねずみ研究者の端くれとして、いつかレンタカーを借りて同じ体験をしたいものである。

さて本題に移る。全国津々浦々を巡り、ねずみの名を冠する土地全てを踏破する。曲りなりにもねずみを研究する者として密かに叶えたい夢である。しかし現実はどうか?そこにつぎ込む時間や旅費を考えると難しい。妥協が必要である。そこで小さな目標へと置き換えることにした。まずは日本各地に散らばる「鼠島」に絞り込み、島の上陸ないし撮影を完遂する。そんな酔狂な試みの1つを本日は記したい。最後までお付き合いいただければ幸いである。
1. 日本全国に12島ある鼠島

かくして方針は決まった。次は全国に浮かぶ「鼠島」のリサーチである。その数、12島。最多は長崎県の5島で対馬市に2島、佐世保市に2島、長崎市に1島である。ついで愛媛県の2島で八幡浜市と今治市に1島ずつ。そして香川県、山口県、岡山県、和歌山県、愛知県に1島ずつとなる。以上であるが、もし見落としがあれば今後訂正・追加をしていきたい。

ところで過去の記事をご覧くださった方は周知の通り、このうち1島は既にクリアした。長崎県佐世保市に属する宇久島の近くに浮かぶ鼠島である。旅程の都合より撮影だけで済ませたが、周辺海域の干潮時刻と渡し船さんの時間が合えば近くの島づたいに上陸可能な日がある。なお、他の鼠島も同様に「潮が引けば陸地と繋がり歩いて上陸できる」や「今では周囲を埋め立てられて陸続き」というものがある。一方で「どう足掻いても上陸は無理」や「近くの海岸まで車で行って撮るしかない」というものもある。同じ鼠島とて、それぞれ個性的である。
2. 佐世保に浮かぶ、もう一つの鼠島

では、そんな鼠島の中から今回のチョイスはどこか?同じく佐世保市にあり、そしてとある展望台から見える鼠島としたい。この展望台から望遠レンズを使って撮影を済ませる。これで佐世保市の2島はコンプリートできる。将来的には長崎市の1島、対馬市の2島と広げて長崎県にある5つの鼠島を制覇する。うむ、当面はその考えで良いだろう。

では早速出発!・・・という前に、今回目指す鼠島のプロフィールを少し記したい。この島は長崎県の景勝地として有名な九十九島に属する無人島である。なお九十九とは言うが、実際の九十九島の島数は208島である。よって下調べもなく挑むことは無謀である。どれが目当ての鼠島なのか分からないまま終わる未来は容易に想像できる。また、名前の由来は「ねずみがたくさんいるから」ではなくて「海に浮かぶ姿がねずみに見えるから」のようである。以上、関西人による事前調査はこれが限界であった。あとは直接現地へ赴き確認したい。
3. いざ出発!

ではいよいよ聖地巡り(?)の始まりである。まずはJR佐世保駅へ行く。そこから次に弓張展望所という場所を目指す。アクセスの方法は駅の近くにあるレンタカーで車をお借りする、徒歩で1時間かけて登る、または展望所近くにあるホテルで宿泊する際に乗せていただける無料シャトルバスなど様々である。なお、筆者はその全てを試したことがある。そのどれもが思い出の尽きないものであった。ばってん、その経験より徒歩はあんまいお勧めできんとさ。

「なして?」という方のために徒歩で行った時の一コマを。これは展望所まで残り10分くらいの地点である。ここまでの道中、そしてこの先もかなりの割合で歩道は無い。そこを時折車が通るため危ない。何より運転手さんたちに申し訳なかった。おまけに展望所の標高は364mである。死語に近い方言と言われたが「きゃーないたぁ(マジで疲れたわ)」どころの騒ぎではない。以上、余談である。
4. 鼠島、見ゆ

話を元に戻す。手段は問わないが、そうして無事に弓張展望所へ辿り着いたとする。次にすることは第二展望台へ行くことである。第一展望台ではない。こちらも眺め、特に夜景が素晴らしいのであるが目当ての鼠島はそこから見えない。これは後でゆっくり堪能させていただくことにする。繰り返すが、まずは第二展望台である。そしてその道中、様々な野鳥や蝶、野の花が出迎えて目を楽しませてくれた。なにか肩の力がすっと抜けたような気分であった。

第二展望台からの眺め。眼前に広がるのが九十九島である。後ほど述べるがここから眺める夕日は別格である。この街をまた訪れたくなる理由の一つかもしれない。話を再び元に戻す。ここから今回の目標となる鼠島が見えるのである。観光案内所でいただいたパンフレットやスマホの地図を活用し、探し出してみることにした。

そしてこれが九十九島の一員の鼠島である。確かにねずみの姿に見えなくもない。なお、上陸ができるのかどうかは分からない。近くからカヤックなどでアクセスできないか気になるところであるが、これはまたいつか調べてみることにしたい。以上、これで2島目の鼠島撮影を完了した。本題は終わりである。
5. 旅の思い出いろんころん

あとは旅の風景を少々。これは先に触れた第二展望台からの夕暮れである。あいにく撮影の技術が未熟で写りが悪い。実際はもっと綺麗である。ぜひ一度現地でご覧いただきたい。

こちらは佐世保市内と海上自衛隊および米海軍基地の夜景。第一展望台からこれと似たようなアングルの一枚が撮影可能である。これも実際はもっと綺麗であるがご参考まで。そういえば春にここから眺めた花火、綺麗だったな。

その第一展望台から少し歩いた山の中にある弓張公園。ここでひっそりと眠り続ける戦跡。こんな歴史があったこと、忘れないよと。

同じく弓張公園で春の頃に出会えるリンドウと思われる可憐な山野草。こっちの言葉で「のんのかよ」と言ってあげたらいいのかな。関西人には語尾の変化させ方もイントネーションも分からない。

それとこの弓張公園で今年の春、お花見を楽しませていただいた。周りにはほぼ誰も来なかった。来たとしても、すれ違うだけ。花盛り、桃色に染まる世界を独り占め。近くのベンチに腰掛けて何を考えるでもなく小一時間ほど過ごさせていただいた。

なお、実は所用で去年もここを訪れていた。この時は時季が遅く、ほぼ桜は散っていた。が、1本だけ目覚めが遅かったのか、ちょうど満開で残ってくれていたものがいた。ありがたくその木陰に入り、ささやかなお花見を楽しんだ。なので今年も「あの時の桜は?」と探してみた。苦労せず見つかったそれは相変わらず元気そうであった。安心した。ただ周りの桜と違って花はまだ蕾であった。「今年もお寝坊さんかい?」と幹に手をついて笑った。

さて、そんな桜に関する話題である。近年、関西や関東を中心に桜の木をはじめ梅や桃の木を枯らすという大問題を起こしている害虫がいる。特定外来生物のクビアカツヤカミキリである。名前の通り首に見える部分が赤く、そして全身が黒っぽくて艶のある特徴的な見た目をしている。

この成虫は6月から8月に出現するため、場所によってはそろそろ姿を見るかもしれない。発見したらすぐに駆除をお願いしたい。かわいそうだが靴で踏み潰す、スコップなどで叩き潰すでも構わない。それと可能であれば市役所や町村役場に目撃情報をご提供いただければ幸いである。

・・・穏やかな旅のお話をしていたはずが、いつの間にか害虫駆除の話題に辿り着いてしまった。これは当ブログの宿命である。大海原を漂う椰子の実も、いつかはどこか遠い孤島の砂浜へ漂着することと同じぐらいの必然性である。さて、私も次はどの鼠島へと流れ着くことになるのか。計画通りに長崎市か対馬市か、それとも。地図を広げたところで本日は筆を置かせていただきたい。