運ばれる余計なもの

「トラックの数、これでもまだ少ないかな」 運転席で一人尋ねた帰り道

ここでラジオとか操作できたんだね・・・まあ、いいさ
運転が楽しいと思い始めたら、ある日視界がおかしくなりました。
お医者さんが大丈夫と言ってくれた通り、また見えるように戻って
くれたけれど、運転も下手に戻ってしまったな・・・まあ、いいさ。
それでも、また運転席にいられることが素直に嬉しいなと思います。
荷物置き用になっているパレット
さて、現場帰りの大きな国道。対向車線のトラックを見て思い出す
父の言葉。「これでも昔に比べてまだまだ少ない」というかな?
夕日に染まる道路、サイドミラーの端へ流れていくトラックたち、
ふと想像するその積み荷。
会社で商品出荷の様子を見てるから、ついつい樹脂製のパレットと
その上に積まれたたくさんの段ボールを思い浮かべてしまう。
それと同時に考える余計な事。パレットに何か変なものが付着して
ヨソへ持ち込まれたりしていないかな。
木製パレットの中にあったクモの巣
でも実際、疑いの目をもって見ればパレットにクモの巣が張って
いたなんてことはあるし、そこに生きたクモがいたらパレットや
トラックなどを介して他の場所へと運ばれてしまう。
その他にも例えば、パレットにカビが生えていたり、小麦粉とか
食品原料が堆積していたら、それらを餌にする虫たちが発生して
しまう。
そして最悪の場合はどうなるか、それは・・・予期せぬ場所での
異物混入の事故。
筆者が時々こっそりキーボード掃除に拝借している会社のエアー
それを避けるには、日頃から定期的にパレットを目視点検する、
掃除する、時間が無いのだとしてもコンプレッサーのエアーで
汚れを吹き飛ばすなどし、予防に努める必要があります。
速乾性でべたつきが無く、扱いやすい天然除虫菊ドライスプレー
それと掃除の仕上げとか、突然出てきた虫へ対処しないといけない
時のために速乾性で安全性も高いスプレー剤を常備しておいても
いいかなと思います。「有機JAS資材評価協議会 資材リスト」に
登録されているから、オーガニック加工工場での使用もOKです。 
こんな物もあるんだってこと、もし興味を持っていただけたり、
お手に取っていただけたら幸いです。

担当者の独り言

プロ野球のペナントレースも、とうとう終わり。それに合わせて
いぶし銀のベテラン選手も、長く球場の運営を支え続けた方も、
次々と惜しまれながら引退して、球場へ別れを告げる。
僕にもいつかは最後の登板日が来る。それが思ったより早いのか、
それともうんと遅いのかは分からないし、不安は尽きない。
でも、いよいよその引き際に「矢弾尽き果てた」って言えたら
いいなと、去り行く背番号を見て思います。同時に選手生命を
縮めないよう、些細なことは適度に笑ってごまかしていけたらと
思います。

ノシメマダラメイガ、現る

ご飯を粗末にする虫には、お仕置きが必要かな。

某日、社内で届けられた小豆の袋。僕もよくお世話になってる方の
お店で見つかった物らしい。
さて、その問題は小豆の中に混じっていた異物。これは、何だろう?
咄嗟に虫の仕業と見当をつけるけれど、次に気になるのは虫の種類。
安直に、アズキゾウムシ・・・加害の様子が何か違う、か。
それと少しして見つかった、糸にまみれた顆粒状の物体。糞かな。
少しずつ絞り込めてきた正体。もう少し、痕跡を探そうか。
そして、とうとう見つかった犯人。それは、ノシメマダラメイガ。
今や一般の方にも広くその名を知られている、貯蔵食品の大害虫。
そう言えば、お店の中で時々見かけたっけ・・・今度、時間が
ある時にボランティアで駆除しに行こうかな。
ところで、どうして彼らが小豆の中に入っていたんだろう?
それは出荷前の袋詰めの時かもしれないし、あるいはお店の
中で保管している間かもしれない。
そんな色々な可能性がある中で覚えておきたいこと。それは
彼らの幼虫の齧る力が強いということ。
孵化したばかりの幼虫なら分からないけれど、発育が進んだ
幼虫であれば厚さ40μmのポリエチレンは貫通されてしまうし、
他に厚さ114μmのクラフト紙だって、低確率ながら穴を開けた
という報告だってある。うん、僕の家にある袋、まずいなぁ。
それと秋の終わりに見られるのがノシメマダラメイガの冬越し。
彼らは幼虫で冬を越して、そして蛹になって翌年の春にまた
成虫が出現する。
なので「そろそろ冬かな?」という頃には冬越しの場所を求めて
歩き回る幼虫の姿を見かけることもあるし、段ボール箱の断面や
コンテナの窪みといったところに繭を作ることだってある。
そうやって荷物の搬入・搬出に使われる資材に幼虫がついたまま
他の場所に運ばれてしまい、そして新たな場所で発生する。
そんなことだって起こり得るから、いつ自分たちが同じような
被害に遭うかなんて分からない。

だから「今は何も侵入していないかな?」ということを客観的に
チェックする目的で使いたいのが「フェロモントラップ」。
「大量に捕獲して駆除する」ためではなくて「早期に侵入を察知」
して「大発生される前に殺虫剤施工などの対策を取る」ための、
例えるならパトロール隊のような道具。
メイガ類をはじめ、貯蔵食品から湧く虫が心配な施設の方には
お勧めしたいアイテムです。

食欲の秋ですが、せっかく買い込んだ食料を台無しにされない
ためにも、どうぞお気をつけて。
・・・では、今週はこのあたりで。最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。

■ 担当者の独り言

1978年10月2日、今から43年ほど前、日本初の南極観測船として
活躍した「宗谷」が退役しました。
最近は思わぬ形で人気を集めているみたいですが、過酷で数奇な
運命を背負った船です。
コロナ禍の今は見学が難しいかもしれないけれど、ネット上でも
体験乗船のようなコーナーもあるから・・・興味がある方は一度、
ご覧いただければと思います。
撮影:宗谷船内(2018年3月17日 前田浩志)
今日はこんなお話をしてしまったから、気になるのは船内に
積み込まれた食品の防虫管理。
またどこかで文献とか資料を見つけることが出来たらいいなと
思います。
撮影:2018年3月17日 前田浩志
「不可能を可能にした奇跡の船」とも呼ばれ、当時の人々にとっての
希望とも言えたのかもしれない存在。
決して穏やかではなかったその航跡が、どこか寂しげに見えてなお
力強くもあり、コロナ禍の今、その力にあやかりたいなと思います。