ノシメマダラメイガ、現る

虫の初歩知識

ご飯を粗末にする虫には、お仕置きが必要かな。

某日、社内で届けられた小豆の袋。僕もよくお世話になってる方の
お店で見つかった物らしい。
さて、その問題は小豆の中に混じっていた異物。これは、何だろう?
咄嗟に虫の仕業と見当をつけるけれど、次に気になるのは虫の種類。
安直に、アズキゾウムシ・・・加害の様子が何か違う、か。
それと少しして見つかった、糸にまみれた顆粒状の物体。糞かな。
少しずつ絞り込めてきた正体。もう少し、痕跡を探そうか。
そして、とうとう見つかった犯人。それは、ノシメマダラメイガ。
今や一般の方にも広くその名を知られている、貯蔵食品の大害虫。
そう言えば、お店の中で時々見かけたっけ・・・今度、時間が
ある時にボランティアで駆除しに行こうかな。
ところで、どうして彼らが小豆の中に入っていたんだろう?
それは出荷前の袋詰めの時かもしれないし、あるいはお店の
中で保管している間かもしれない。
そんな色々な可能性がある中で覚えておきたいこと。それは
彼らの幼虫の齧る力が強いということ。
孵化したばかりの幼虫なら分からないけれど、発育が進んだ
幼虫であれば厚さ40μmのポリエチレンは貫通されてしまうし、
他に厚さ114μmのクラフト紙だって、低確率ながら穴を開けた
という報告だってある。うん、僕の家にある袋、まずいなぁ。
それと秋の終わりに見られるのがノシメマダラメイガの冬越し。
彼らは幼虫で冬を越して、そして蛹になって翌年の春にまた
成虫が出現する。
なので「そろそろ冬かな?」という頃には冬越しの場所を求めて
歩き回る幼虫の姿を見かけることもあるし、段ボール箱の断面や
コンテナの窪みといったところに繭を作ることだってある。
そうやって荷物の搬入・搬出に使われる資材に幼虫がついたまま
他の場所に運ばれてしまい、そして新たな場所で発生する。
そんなことだって起こり得るから、いつ自分たちが同じような
被害に遭うかなんて分からない。

だから「今は何も侵入していないかな?」ということを客観的に
チェックする目的で使いたいのが「フェロモントラップ」。
「大量に捕獲して駆除する」ためではなくて「早期に侵入を察知」
して「大発生される前に殺虫剤施工などの対策を取る」ための、
例えるならパトロール隊のような道具。
メイガ類をはじめ、貯蔵食品から湧く虫が心配な施設の方には
お勧めしたいアイテムです。

食欲の秋ですが、せっかく買い込んだ食料を台無しにされない
ためにも、どうぞお気をつけて。
・・・では、今週はこのあたりで。最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。

■ 担当者の独り言

1978年10月2日、今から43年ほど前、日本初の南極観測船として
活躍した「宗谷」が退役しました。
最近は思わぬ形で人気を集めているみたいですが、過酷で数奇な
運命を背負った船です。
コロナ禍の今は見学が難しいかもしれないけれど、ネット上でも
体験乗船のようなコーナーもあるから・・・興味がある方は一度、
ご覧いただければと思います。
撮影:宗谷船内(2018年3月17日 前田浩志)
今日はこんなお話をしてしまったから、気になるのは船内に
積み込まれた食品の防虫管理。
またどこかで文献とか資料を見つけることが出来たらいいなと
思います。
撮影:2018年3月17日 前田浩志
「不可能を可能にした奇跡の船」とも呼ばれ、当時の人々にとっての
希望とも言えたのかもしれない存在。
決して穏やかではなかったその航跡が、どこか寂しげに見えてなお
力強くもあり、コロナ禍の今、その力にあやかりたいなと思います。
  •  重要なお知らせ
  • GW休業日ご案内【4/27(土)~4/29(祝・月)、5/3(金)~5/6(月)】は休業いたします。 ●4/30(火)~5/2(木)は営業しております。 ●休業中はお問合せへのご返答・ご注文に関するご連絡も休止させていただいております。